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緩和継続「揺るぎなく」、来年度以降の賃上げ焦点に=日銀総裁

発行済 2022-06-06 14:07
更新済 2022-06-06 15:10
© Reuters.  6月6日、日銀の黒田東彦総裁(写真)は、円安は安定的に進むなら日本経済全体にプラスとの考えを示した。写真は都内で2020年1月撮影(2022年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

[東京 6日 ロイター] - 日銀の黒田東彦総裁は6日、共同通信社の「きさらぎ会」で講演し、「揺るぎない姿勢で金融緩和を継続していく」と強調した。賃金が上昇しやすい経済環境を作り、インフレ予想の上昇や値上げ許容度の変化を持続的な物価上昇につなげていく考えを示した。大半の品目で価格の伸びがゼロ%で張り付く現状を打破するため、来年度以降の賃上げ率に実績のインフレ率が反映されることが必要だと語った。

<焦点は来年度の賃上げ動向>

黒田総裁は講演で「日本経済は依然として感染症からの回復途上にある上、所得面では資源価格上昇という下押し圧力も受けており、金融引き締めを行う状況には全くない」と話した。

2%の物価目標の実現は「景気の変動などをならしてみて、平均的に2%になることだ」と指摘。現在の強力な金融緩和を継続することで、企業収益や雇用・賃金が増加し、その中で物価の基調も緩やかに上昇する好循環を形成する必要があるとの考えを示した。

黒田総裁は「日本で毎年2%程度の物価上昇が実現する状態は、サービス価格の押 し上げ寄与が常に2%程度あり、その前後の変化率で、財価格が循環的に変動するという姿」と説明。日本では、価格変化率がゼロ%となっている品目が圧倒的に多く、この状況が強固に続いてきたことが大規模な金融緩和を推進する中でも2%目標を達成できなかった最大の理由だと語った。

こうした状況を打破するには賃金の上昇が重要だとし、金融緩和の継続で労働需給の引き締まった状態を長期化し、毎年の労使交渉で決まる賃上げ率に物価上昇率の実績値が反映されていくことが必要だと述べた。

黒田総裁は「企業の価格設定スタンスが積極化している中で、日本の家計の値上げ許容度も高まってきているのは、持続的な物価上昇の実現を目指す観点からは重要な変化だ」と指摘。

コロナ禍の消費抑制で積み上がった「強制貯蓄」が家計の値上げ許容度の改善につながっている可能性があり、「強制貯蓄の存在等により日本の家計が値上げを受け入れている間に、良好なマクロ経済環境をできるだけ維持し、これを来年度以降のベースアップを含めた賃金の本格上昇にいかにつなげていけるかが当面のポイントだ」とした。

<円安で恩恵の企業、設備投資・賃上げなら好循環>

円相場はこのところ再び円安に傾き、1ドル=130円台後半で推移している。黒田総裁は質疑応答で「急激な変動ではなく安定的な円安方向の動きであれば、日本経済全体として見ればプラスに作用する可能性が高い」と述べた。

企業の業種や規模によって円安の影響は「不均一だ」だが、例えば外国人観光客の受け入れ再開は「感染症の影響で強い下押し圧力を受けてきた地方の中小サービス業にメリットをもたらす」とした。「円安の恩恵により収益の改善した企業が設備投資を増加させたり、賃金を引き上げたりすることで経済全体として所得から支出への前向きの循環が強まっていく」と強調した。

<応札ゼロ続く指し値オペ、アナウンスメント効果も>

黒田総裁は講演で、指し値オペへの応札ゼロが続いていることについて「日銀が指し値オペにより無制限に国債を買い入れるというアナウンスメント効果も、市場参加者の予想形成に大きな影響を与えている」などと述べた。

日銀は4月の金融政策決定会合で10年物国債金利0.25%での指し値オペを原則毎日行うと決定。その後、応札のない状況が続いている。

(和田崇彦)

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