[シンガポール 28日 ロイター] - 中国の石油・ガス生産最大手、中国石油天然ガス(ペトロチャイナ)は、オーストラリアでの天然ガス事業とカナダでのオイルサンド事業をいずれも売却する可能性がある。多額の赤字になっているため、資金の流出を食い止めてより妙味のある中東案件に資金を振り向けたい考えという。消息筋2人が明らかにした。
それによると、ペトロチャイナは昨年、世界各地の保有資産を巡り戦略的な見直し作業に着手した。合計で数十億ドルもの規模の赤字につながっていたり、コストや許認可などの面で競争力が見込みにくかったりする分野の資産の一部を向こう2年で売却したいと望んでいるという。
中国の国有石油会社の中国海洋石油(CNOOC)も既に米英とカナダでの事業撤退を打ち出している。資産が西側の経済制裁対象になる恐れがあるというのが理由だった。
消息筋によると、ペトロチャイナの場合、米国には石油・ガス資産がないため西側からの経済制裁を懸念する必要は直接にはない。今回の資産売却検討はもっぱら採算性の問題という。ただオーストラリア とカナダに対する中国の外交関係が影を落としている面はあるとも指摘した。
オーストラリア事業については、炭層メタン生産会社アロー・エナジーと液化天然ガス(LNG)のブラウズ・プロジェクトがペトロチャイナで最も採算性が悪いとの算定になっているという。アローは2010年に25億ドルで米シェルと共同買収していた。ブラウズの権益は13年にBHPから16億3000万ドルで取得した。
カナダのオイルサンド事業マッケイリバー・オイルサンズとドーバー・オイルサンズはペトロチャイナが100%保有するが、これを完全に手放すことも検討されているという。