[シンガポール 15日 ロイター] - コンサルティング会社ベイン・アンド・カンパニーは15日、東南アジアの温室効果ガス削減に向けたグリーン投資について「悲惨なほど軌道から外れている」と指摘、ギャップを埋めるため、新たな政策や金融メカニズムが必要とする年次報告書を発表した。
報告書はグリーン投資グループのGenZero、スタンダード・チャータード銀行と共同でまとめた。
東南アジアのエネルギー消費は2020年代に40%増加する見通しだが、二酸化炭素(CO2)の排出は増加傾向にあり、化石燃料への依存が続いている。
グリーン投資は昨年20%増加したが、20年代に必要となる1兆5000億ドルには遠く及ばず、このまま行けば、東南アジア10カ国の排出量は30年の目標を32%オーバーする可能性がある。
エネルギーの総供給量に占めるクリーンエネルギーの比率はわずか10%である一方、化石燃料への補助金は再生可能エネルギー投資の約5倍。資本コストの高さや送電網・料金の規制を巡る不透明感が、再生エネ事業の資金調達を阻害する要因になっている。
炭素価格導入が進んでいるのは10カ国中、インドネシア、マレーシア、シンガポール、ベトナムの4カ国のみ。
報告書は政策・インセンティブ・地域協力の拡大が必要で、現時点で導入可能な技術を継続的に重視すべきだと指摘。持続可能な農業、大規模な再生エネ発電所など、13の「投資可能なアイデア」を通じて30年までに1500億ドルの収入を確保できる可能性があるとしている。
シンガポール経済開発庁とコンサルティング会社マッキンゼーの4月のリポートによると、東南アジアの再生エネ投資はサハラ以南のアフリカに次ぎ下から2番目だった。