Timothy Gardner
[ワシントン 3日 ロイター] - 米エネルギー省のキャスリン・ハフ次官補(原子力担当)はロイターに対し、ロシアが米国にウランを売却しなくなる可能性を2022年から準備していたとし、ロシア産への依存脱却が国内の精製能力を高めるとの見方を示した。
米上院は4月30日、ウクライナ侵攻を巡る制裁の一環でロシア産ウランの輸入禁止法案を可決した。
ロシアがウクライナ侵攻を開始した2022年、ロシアは米にとってウランの最大の調達先で国内原発が使用するウランの約24%を占めていた。対ロシア制裁を強化する中、ロシアが対抗措置として米国へのウラン輸出を凍結するとの懸念も台頭していた。
ハフ次官補は3日、退任を前にロイターに「ここ数年、ロシアが濃縮ウランの対米輸出を突然止める可能性が、非常に現実的かつ現在進行形で存在した」と述べた。米政府はあらゆるシナリオを想定して準備してきたとし、カナダ、フランス、日本などの同盟国が代替調達を支援するとの見通しを示した。
ロシア産の輸入禁止により、以前の法案から27億ドルが国内産業育成に投じられることになる。
ロシアへの依存を減らす上では、新たなウラン生産設備への投資と、その投資を一定の輸入規制で保護するという2本柱が必要だと指摘した。
原発の燃料補給は約2年ごとに行われ、契約は数年前に締結される。ハフ氏によれば、国内のウラン転換・濃縮設備の立ち上げは3─4年先で、ロシア産に取って代わるのに「ほぼ間に合う」という。
今週、ジョージア州のボーグル原発の4号機が商用運転を開始した。ただ、新たな原発建設は予定されていない。ハフ氏は、次に稼働するのはミシガン州のパリセーズ原発だと予想する。パリセーズ原発は22年に閉鎖したが、所有するホルテック社がエネルギー省から15億ドルの融資を受け、米国で初めて再稼働に取り組んでいる。