制裁下にあるロシアの海運グループ、ソフコムフロートの最高経営責任者（CEO）が、海運制裁が海上安全と貿易に及ぼす悪影響について懸念を表明した。ロシア国営の大手タンカー会社のトップであるイーゴリ・トンコビドフ氏は、欧州連合（EU）と米国による制裁措置に失望を表明し、制裁措置は海上での安全を損ない、特に欧州海域における海上輸送の安全性向上を妨げるものであると述べた。
欧州連合（EU）は先ごろ、ソフコムフロートとトンコビドフに対し制裁措置を発動した。さらに、米国財務省外国資産管理局（OFAC）は今年初め、ソフコムフロートが権益を有する財産として14隻の原油タンカーを指定した。
トンコビドフ氏は、制裁は世界の貿易船団の分裂と、海運業界が数十年にわたって築いてきた安全文化の破壊につながると強調した。彼は、制裁にもかかわらず、ソフコムフロートは海上輸送の最高基準を守り続けると断言した。
4月、トンコビドフは、制裁はすでにソフコムフロートの商業的展望と地理的範囲を制限することにより、ソフコムフロートの事業に影響を与えたと報告した。2023年、ソフコムフロートは、主に中国、インド、地中海の市場に7500万トンの石油を輸送した。
西側諸国の対ロ制裁により、船舶エンジンメーカーや安全認証機関を含む国際的なサービス企業が撤退したことが、ロシア船隊が直面する課題をさらに深刻なものにしている。また、世界の海運業界関係者は、ロシア、イラン、ベネズエラなどの制裁対象国からの石油輸送に使用される、しばしば「影の船団」と呼ばれる老朽化した規制対象外のタンカーの増加に伴うリスクを警告している。こうした懸念は、海上の安全と世界貿易の円滑な運営に対する潜在的な危険を浮き彫りにしている。
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