■事業概要2. アドバンスクリエイト (T:8798)の強み同社の最大の強みは保険選びサイト「保険市場」が、保険契約の見込み顧客獲得ツールとして圧倒的な集客力を誇っていることにある。
Webサイトへのアクセス件数が多いほど、資料の請求件数や問い合わせが増えることになり、結果的に保険商品の契約数増加につながるためだ。
「保険市場」サイトの月間ユニークユーザー数は100万件を超えている。
高いアクセス数を誇る背景としては、取扱商品数が多いことは言うまでもなく、日々進化するIT技術に対応して利便性の高いサイトづくりに継続的に取り組んでいることが挙げられる。
また、単なる保険比較サイトではなく、著名人のコラムや業界ニュースなど多彩なコンテンツを取りそろえ、情報メディアサイトとしての位置付けを確立したことで、金融リテラシーの高いアッパーミドル層からのアクセス率が高いことも特長となっている。
集客力の高いWebサイトを維持していくために、同社は社内にシステムエンジニアを100名ほど抱えており、「保険市場」サイトの日々の更新やリニューアル、顧客管理システム等の開発も含めて、すべて自社で完結できる体制を整えていることも強みと言えるだろう。
また、同サイトを通じて寄せられる様々な問い合わせや資料請求などに対して、迅速に対応するデジタルコミュニケーション(以下、DC)開発部やロジスティック部門を社内で抱えていることも同社の特長であり強みとなる。
DC開発部は従来、コールセンターと呼んでいたが、SNSやSMS、チャットボットなどデジタルコミュニケーションツールを業界に先駆けて導入し、積極的に活用していることからDC開発部に改称している。
最近の傾向として電話をかけても受話率が低く、コンタクトを取るのが難しくなっているが、同社はSNSやSMSをうまく活用することでこうした課題を解消しており、コンタクトセンターのIT化で先行していることも強みと言える。
保険業界の中ではコンタクトセンターについて外注を使う企業が多いが、同社はインバウンド対応など重要業務については自社の社員で対応している。
問い合わせ件数の増加により、2017年以降は派遣社員の受入れを開始したが、すべての社員が保険販売に関する研修を1ヶ月間受け、資格を取った上で現場に配属されるため、保険商品に対する知識も豊富で顧客からの高い評価につながっている。
また、同社は契約社員制度を導入しており、派遣社員のうち1年以上の勤務経験があり、かつ能力の高い社員については契約社員として改めて採用するケースもある。
2020年9月末時点のDC開発部の人員は110名程度で、うち正社員(契約社員含む)比率は約4割となっている。
ロジスティック部門についても、各種資料の配送だけでなく、送られて来た申込用紙の不備チェックや返送作業などを、迅速かつ高い品質で処理している。
特に、申込用紙の記入不備補完率は95%以上と業界の中でも極めて高い数字となっており、保険会社からの高い評価につながっている。
このように、Webサイトによる集客からDC開発部での顧客対応、ロジスティック部門に至るまで、すべての工程を自社のリソースで手掛けている企業はほかになく、各工程で品質の高いサービスを提供していることが同社の強みとなっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)