原油と天然ガスの価格は2021年の初めから強気相場が続いている。地政学的緊張とエネルギー市場の不確実性の高まりに後押しされ、これらのコモディティは今年に入り過去最高値を更新した。
当記事執筆時点では、ブレント原油は1バレルあたり108ドルを超え、米国のウエスト・テキサス・インターミディエイト(WTI)も103ドル超で取引されている。 また、天然ガス価格は6.8ドル付近で推移している。
1月以降、Dow Jones Oil & Gas Indexは43.7%も上昇している。
しかしながら、2022年のエネルギー産業に関する現在の見通しは、依然として複雑である。追い風が吹いているとはいえ、中国の経済成長の減速、地政学的リスクの高まり、OPEC加盟国間の意見の相違など、この分野にはいくつかの不確定要素も存在する。
デロイトによる最近の調査では、原油価格の高騰により、原油・天然ガス(O&G)企業は代替エネルギーへの移行計画を増加させることができるとされている。同調査では、次のように指摘する。
「調査対象となったO&G企業の幹部の76%は、1バレルあたり60ドルを超える原油価格は、近い将来、エネルギー転換を後押しするか補完する可能性が最も高いと述べている。」
本日の記事では、エネルギー価格の継続的な上昇から利益を得たいと考える読者にとって魅力的な2つの上場投資信託(ETF)を紹介する。
1. First Trust Energy AlphaDEX Fund
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現在の価格:16.50ドル
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過去52週間の価格レンジ:9.44ドル~16.63ドル
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配当利回り: 0.92%
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経費率:年率0.64%
The First Trust Energy AlphaDEX® Fund (NYSE:FXN)は、いくつかの価値基準および成長基準に基づき、エネルギー株式に投資している。このETFは2007年5月に取引を開始した。
StrataQuant® Energy Indexに連動するFXNは、現在37銘柄を保有している。サブ・セクターは、原油、天然ガス、石炭(91.92%)、代替エネルギー(8.08%)となっている。
ポートフォリオの上位10銘柄は、純資産17.2億ドルのうち45%以上を占めている。その中には、Hess (NYSE:HES)、Continental Resources (NYSE:CLR)、 Occidental Petroleum (NYSE:OXY)、EOG Resources (NYSE:EOG)、 Diamondback Energy (NASDAQ:FANG)などが含まれる。
同ETFは今年38.4%、過去12カ月で67.4%の上昇を記録している。FXNは4月19日に数年来の高値を記録した。実績株価収益率(PER)は19.66倍、株価純資産倍率(PBR)は2.45倍である。エネルギー強気派は、ポートフォリオに含まれる銘柄の調査を検討すると良いだろう。
2. Invesco Optimum Yield Diversified Commodity Strategy No K-1 ETF
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現在の価格:18.77ドル
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過去52週間の価格レンジ:13.22ドル~$22.73ドル
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経費率:年率0.68%
コモディティ価格が高騰している。Capital Economicsの最近の調査では、次のように強調されている。
「ロシアとウクライナはともにコモディティの輸出大国である。戦争の結果がどうであれ、しばらくは価格が高止まりするだろう。」
しかし、この分析では、「中国のコモディティ需要の落ち込み」の可能性が、今後数ヶ月間のコモディティ価格の重荷になる可能性が高いとも指摘している。
2本目のファンド、Invesco Optimum Yield Diversified Commodity Strategy No K-1 ETF (NASDAQ:PDBC) は、エネルギー関連コモディティだけでなく、金属や農産物へのエクスポージャーも提供する。このアクティブ投資型のETFは、主にコモディティ・リンク先物に投資している。したがって、全体的な分散を希望するコモディティの強気筋は、PDBCをさらに研究する価値があるかもしれない。
このETFは2014年11月に取引を開始し、運用資産は87億ドルとなっている。PDBCのベンチマーク指数は、DBIQ Optimum Yield Diversified Commodity Index Excess Returnで、様々なコモディティから構成されている。
ウェイトの高い順にアルミニウム、亜鉛、銅、NY ハーバー ULSD、ブレント原油、ガソリン、{{WTI原油}}、天然ガス、金、小麦、トウモロコシ、大豆、砂糖、銀などに投資をしている。
これまでのところ、2022年のPDBCのリターンは33.5%を超えている。過去1年以上に渡って、コモディティ価格は変動が激しいものの、全体的に堅調に推移している。インフレ懸念と地政学的リスクが、ほとんどのコモディティに対してプラスの勢いを維持させる可能性が高いとみている。
したがって、このETFは、原油・天然ガスだけでなく、他のコモディティにも強気な読者にとって魅力的かもしれない。しかし、資産クラスとしてのコモディティの値動きは不安定である。そのため、利益確定売りがすぐに出る可能性もあり、バイ・アンド・ホールドの投資家にとっては、より良いエントリー・ポイントとなるであろう。