*12:03JST アイナボHD Research Memo(3):2023年9月期第2四半期は、増収も営業減益
■業績動向
1. 2023年9月期第2四半期の業績概要
(1) 損益状況
アイナボホールディングス (TYO:7539)の2023年9月期第2四半期の連結業績は、売上高44,057百万円(前年同期比9.7%増)、営業利益1,363百万円(同11.7%減)、経常利益1,514百万円(同10.4%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益921百万円(同31.2%減)となった。
親会社株主に帰属する四半期純利益の減益幅が大きいのは、子会社化したマニックスの「負ののれん発生益」328百万円を、前期に特別利益として計上したことによる。
売上高は、戸建住宅事業・大型物件事業ともに増収となり、ほぼ計画どおりであったが、売上総利益率は14.1%と前年同期比で0.9ポイント低下した。
主に利益率の高い大型工事の完工が少なかったこと、原材料等の上昇に対して価格転嫁が追いつかなかったことによる。
販管費は新規連結子会社の増加分や人件費増(人員増や物価高手当等)により同8.5%増となった。
このため、営業利益は減益となったが、住宅市場全般が厳しい環境のなかでも売上高が伸びている点は評価できるだろう。
営業利益の増減内訳は、増収による売上総利益の増加により549百万円増、売上総利益率の低下による349百万円減、販管費の増加による380百万円減となる。
その結果、営業利益は前年同期比180百万円減となった。
(2) セグメント別状況
a) 戸建住宅事業
戸建住宅事業の売上高は37,197百万円(前年同期比9.1%増)、セグメント利益は1,786百万円(同3.8%増)となった。
サブセグメント別売上高は、外壁工事が8,676百万円(同7.4%増)、住設工事が11,099百万円(同11.3%増)、建材販売8,144百万円(同10.2%増)、住設販売が9,277百万円(同7.2%増)となり、すべてのサブセグメントで増収となった。
セグメント利益は、製品構成の変化によって利益率がやや低下したものの、増益を確保した。
b) 大型物件事業
大型物件事業の売上高は6,859百万円(同13.1%増)、セグメント利益は329百万円(同28.1%減)となった。
サブセグメント別売上高では、タイル販売・工事が1,710百万円(同1.2%減)、住設販売・工事が5,149百万円(同18.8%増)となった。
タイル販売・工事は、東京オリンピック・パラリンピック後の反動で落ち込んだ長期の大型案件が依然として回復していないもようだ。
住設販売・工事は、中古マンション買い取りの新規事業により増収となったが、比較的好採算の工事の完工が少なかったことにより、セグメント利益率が低下した。
特に子会社の温調技研の影響が大きかった。
(3) 事業会社別業績
主力子会社である(株)アベルコは、売上高29,995百万円(前年同期比9.7%増)、営業利益1,233百万円(同10.4%増)となった。
住宅市場の状況は必ずしも堅調とは言えなかったが、増収を維持し、比較的採算の良い案件が完工したことなどから営業利益も増益を維持した。
主に中部地区を地盤とする(株)インテルグローは、売上高6,421百万円(同9.1%増)、営業利益136百万円(同19.0%減)となった。
増収を維持したが、完工した案件の利益率が低下したことで販管費の増加を吸収できず営業減益となった。
主に首都圏を中心に公共施設向けの空調リニューアル工事等を行う温調技研(株)は、売上高971百万円(同30.7%減)、営業利益36百万円(同87.1%減)と、大幅な減収減益となった。
要因は、過去2年間が比較的好調であったことに加え、新型コロナウイルス感染症の拡大(以下、コロナ禍)により民間需要が低迷したことから多くの競合会社が公的市場に参入したために競争が激化したことによる。
関西圏を地盤とする(株)今村は、売上高1,780百万円(同13.2%増)、営業利益39百万円(同200.0%増)となった。
コロナ禍から社会・経済が正常化したことによりホテル向け案件(水回り等)が回復し、金額の規模は大きくないが増収増益を確保した。
2021年9月期に子会社化した(株)アルティスは、増収となったが営業損失を計上した。
ただし損失幅は縮小した。
前期から連結子会社となったマニックスは、増収となったが経費の増加を吸収できずに営業減益となった。
また2023年9月期に子会社化した(株)Maristo(マリスト)は、営業損失を計上した。
(4) 重点課題の達成状況
同社が「重点課題」としている各課題の達成状況は次のとおり。
サイディングの売上高は2,082百万円(前年同期比17.7%増)、サイディングプレカットは437件(同35件増)と順調に拡大している。
非住宅※の売上高は1,696百万円(同31.3%増)となり、通期目標3,000百万円に対しての進捗率は56.5%と、順調に進行している。
サッシ(マンション+戸建て)の売上高は1,911百万円(同19.7%増)となった。
サッシ(戸建住宅のみ)の売上高は1,221百万円(同15.8%増)となり、サッシ全体は堅調であった。
通期目標4,000百万円に対しての進捗率は30.5%に留まったが、目標値が高いためであり、悪い内容ではないだろう。
※2021年9月期から重点課題に加えたもので、住宅以外の施設や店舗向けの案件を扱う。
ブランド事業では、「マリスト」の売上高は683百万円と、前年同期比10.2%増(63百万円増)増となった。
通期目標に対する進捗率は48.1%となっており、まずまずの結果であったと言える。
またアルティスが扱う高級浴槽「アルティス」の売上高は204百万円と、同12.7%増(23百万円増)となった。
通期目標390百万円に対する進捗率は52.3%であり、こちらもまずまずの結果であった。
新規顧客開拓については332件となり、同27件増加したが、売上高は同74百万円減少した。
同社は「売上高は後からついてくる傾向があるので、件数が増加している点は評価している」と述べている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
1. 2023年9月期第2四半期の業績概要
(1) 損益状況
アイナボホールディングス (TYO:7539)の2023年9月期第2四半期の連結業績は、売上高44,057百万円(前年同期比9.7%増)、営業利益1,363百万円(同11.7%減)、経常利益1,514百万円(同10.4%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益921百万円(同31.2%減)となった。
親会社株主に帰属する四半期純利益の減益幅が大きいのは、子会社化したマニックスの「負ののれん発生益」328百万円を、前期に特別利益として計上したことによる。
売上高は、戸建住宅事業・大型物件事業ともに増収となり、ほぼ計画どおりであったが、売上総利益率は14.1%と前年同期比で0.9ポイント低下した。
主に利益率の高い大型工事の完工が少なかったこと、原材料等の上昇に対して価格転嫁が追いつかなかったことによる。
販管費は新規連結子会社の増加分や人件費増(人員増や物価高手当等)により同8.5%増となった。
このため、営業利益は減益となったが、住宅市場全般が厳しい環境のなかでも売上高が伸びている点は評価できるだろう。
営業利益の増減内訳は、増収による売上総利益の増加により549百万円増、売上総利益率の低下による349百万円減、販管費の増加による380百万円減となる。
その結果、営業利益は前年同期比180百万円減となった。
(2) セグメント別状況
a) 戸建住宅事業
戸建住宅事業の売上高は37,197百万円(前年同期比9.1%増)、セグメント利益は1,786百万円(同3.8%増)となった。
サブセグメント別売上高は、外壁工事が8,676百万円(同7.4%増)、住設工事が11,099百万円(同11.3%増)、建材販売8,144百万円(同10.2%増)、住設販売が9,277百万円(同7.2%増)となり、すべてのサブセグメントで増収となった。
セグメント利益は、製品構成の変化によって利益率がやや低下したものの、増益を確保した。
b) 大型物件事業
大型物件事業の売上高は6,859百万円(同13.1%増)、セグメント利益は329百万円(同28.1%減)となった。
サブセグメント別売上高では、タイル販売・工事が1,710百万円(同1.2%減)、住設販売・工事が5,149百万円(同18.8%増)となった。
タイル販売・工事は、東京オリンピック・パラリンピック後の反動で落ち込んだ長期の大型案件が依然として回復していないもようだ。
住設販売・工事は、中古マンション買い取りの新規事業により増収となったが、比較的好採算の工事の完工が少なかったことにより、セグメント利益率が低下した。
特に子会社の温調技研の影響が大きかった。
(3) 事業会社別業績
主力子会社である(株)アベルコは、売上高29,995百万円(前年同期比9.7%増)、営業利益1,233百万円(同10.4%増)となった。
住宅市場の状況は必ずしも堅調とは言えなかったが、増収を維持し、比較的採算の良い案件が完工したことなどから営業利益も増益を維持した。
主に中部地区を地盤とする(株)インテルグローは、売上高6,421百万円(同9.1%増)、営業利益136百万円(同19.0%減)となった。
増収を維持したが、完工した案件の利益率が低下したことで販管費の増加を吸収できず営業減益となった。
主に首都圏を中心に公共施設向けの空調リニューアル工事等を行う温調技研(株)は、売上高971百万円(同30.7%減)、営業利益36百万円(同87.1%減)と、大幅な減収減益となった。
要因は、過去2年間が比較的好調であったことに加え、新型コロナウイルス感染症の拡大(以下、コロナ禍)により民間需要が低迷したことから多くの競合会社が公的市場に参入したために競争が激化したことによる。
関西圏を地盤とする(株)今村は、売上高1,780百万円(同13.2%増)、営業利益39百万円(同200.0%増)となった。
コロナ禍から社会・経済が正常化したことによりホテル向け案件(水回り等)が回復し、金額の規模は大きくないが増収増益を確保した。
2021年9月期に子会社化した(株)アルティスは、増収となったが営業損失を計上した。
ただし損失幅は縮小した。
前期から連結子会社となったマニックスは、増収となったが経費の増加を吸収できずに営業減益となった。
また2023年9月期に子会社化した(株)Maristo(マリスト)は、営業損失を計上した。
(4) 重点課題の達成状況
同社が「重点課題」としている各課題の達成状況は次のとおり。
サイディングの売上高は2,082百万円(前年同期比17.7%増)、サイディングプレカットは437件(同35件増)と順調に拡大している。
非住宅※の売上高は1,696百万円(同31.3%増)となり、通期目標3,000百万円に対しての進捗率は56.5%と、順調に進行している。
サッシ(マンション+戸建て)の売上高は1,911百万円(同19.7%増)となった。
サッシ(戸建住宅のみ)の売上高は1,221百万円(同15.8%増)となり、サッシ全体は堅調であった。
通期目標4,000百万円に対しての進捗率は30.5%に留まったが、目標値が高いためであり、悪い内容ではないだろう。
※2021年9月期から重点課題に加えたもので、住宅以外の施設や店舗向けの案件を扱う。
ブランド事業では、「マリスト」の売上高は683百万円と、前年同期比10.2%増(63百万円増)増となった。
通期目標に対する進捗率は48.1%となっており、まずまずの結果であったと言える。
またアルティスが扱う高級浴槽「アルティス」の売上高は204百万円と、同12.7%増(23百万円増)となった。
通期目標390百万円に対する進捗率は52.3%であり、こちらもまずまずの結果であった。
新規顧客開拓については332件となり、同27件増加したが、売上高は同74百万円減少した。
同社は「売上高は後からついてくる傾向があるので、件数が増加している点は評価している」と述べている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)