今日の欧米外為市場では、カナダドル・円は一段安となりそうだ。
相関性の高い原油価格の安値圏推移が続いていることや、カナダ銀行(中央銀行)は20日に追加利下げに踏み切るとの観測が一部に広がっているためだ。
カナダドルには下押し圧力が強まっていることから、節目の80円を割り込む展開を想定する。
日本時間19日の11時に発表された2015年の中国国内総生産(GDP)は1990年以来、25年ぶりに7%を割り込む低水準となったほか、12月鉱工業生産、同小売売上高はともに市場予想を下振れるなど、経済の減速を裏付ける内容となった。
エネルギー消費国の需要の減退で原油は需給が緩むため、原油価格の先安観は一層強まっている。
米原油先物ウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)は30ドル台を回復できず、目先も20ドル台の取引が続くとみられ、相関性の高いカナダドルは売られやすい。
また、カナダ銀行の政策金利発表を20日に控え、追加利下げ観測が広がっていることもカナダドル・円の売り要因。
追加利下げを実施するかどうかの見方は足元で拮抗しているが、同中銀は2015年1月にも原油価格急落に伴い、政策金利を0.25%引き下げた経緯がある。
また、同年2回目となった7月の利下げの際、カナダ銀行は2016年の国内経済の成長率を2%後半のプラス成長と見込んでいたが、中国経済の減速や足元の原油安を受け実現は困難との見方もある。
こうした要因から追加利下げが予想されるため、カナダドル・円は一段安を予想する。
18日早朝に2012年11月以来、3年2カ月ぶりに80円を割り込み、79円76銭まで下落する場面もみられた。
19日のアジア取引時間帯では81円台に値を戻しているが、上海総合指数の上昇を好感した円売り一服後は、カナダドル売りに振れるだろう。
【今日の欧米市場の予定】 ・18:00 ユーロ圏・11月経常収支(10月:+204億ユーロ) ・18:30 英・12月消費者物価指数(前年比予想:+0.2%、11月:+0.1%) ・18:30 英・12月消費者物価コア指数(前年比予想:+1.2%、11月:+1.2%) ・18:30 英・12月生産者物価指数・産出(前年比予想:-1.2%、11月:-1.5%) ・19:00 ユーロ圏・12月消費者物価指数改定値(前年比予想:+0.2%、速報値:+0.2%) ・19:00 独・1月ZEW景気期待指数(予想:7.9、12月:16.1) ・24:00 米・1月NAHB住宅市場指数(予想:61、12月:61) ・06:00 米・11月対米証券投資・長期有価証券(株式スワップ等除く)(10月:-166億ドル)