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タナベ経営 Research Memo(5):4つの重点施策により持続的安定成長を実現

発行済 2018-01-31 17:00
更新済 2018-01-31 17:33
タナベ経営 Research Memo(5):4つの重点施策により持続的安定成長を実現
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■今後の見通し

2. 事業戦略
タナベ経営 (T:9644)は今後の事業戦略として以下の4つの施策に重点的に取り組み、中期的な成長を実現していく方針だ。


(1) C&C(コンサルティング&コングロマリット)戦略の推進
同社では、C&C戦略を今後も成長戦略の柱として推進していく。
ドメイン(事業戦略)&ファンクション(組織戦略)研究テーマを拡大していくほか、FCCアカデミー(企業内大学)設立コンサルティング、こども・子育てファミリーマーケット攻略コンサルティング、Webプロモーションコンサルティングの推進に注力していく。


ドメイン&ファンクション研究テーマについては、未来の社会的課題を解決、あるいは成長が見込まれるテーマを中心に今後もテーマ数を拡大し、コンサルティング契約への導線としていく戦略で、2019年3月期も「アパレル」「デジタルテクノロジーサービス」等をテーマとした研究会を発足する予定である。


FCCアカデミー(企業内大学)設立コンサルティングとは、顧客企業ごとに、教育体系の構築とクラウド教育システムの導入、研究会やセミナーの提供により、スピーディーに企業内大学を設立する支援を行う。
クラウド教育システムについては、同社コンサルタントによる80 以上の教育コンテンツに加え、同社が顧客企業のタレントマネジメントを推進することにより、優秀社員や技術者のノウハウをデジタル化するという特徴を持つ。
これらを、スマートフォンやタブレット端末等のデジタル機器で場所と時間を選ばず学習できることから、「学び方改革」により「働き方改革」を実現できる。
結果、顧客企業は業種・企業規模・地域を問わず、スピーディーに企業内⼤学を設⽴できるのである。
中堅・中小企業にとっても、自社独自の企業内大学(人材育成プログラム制度)として採用活動での効果的なPR につながるというメリットもあり、導入意欲は高い。
既に30社以上で採用が決まっており、早期に100社への導入を目指している。


こども・子育てファミリーマーケット攻略コンサルティングでは、全国約8,000の私立幼稚園が参加する「こどもがまんなかPROJECT」に参画し、幼稚園と企業との橋渡しを専属で行っており、企業に対してプロモーションの企画立案やコンテンツ・商品開発、プロモーション実行支援までをトータルで提供している。
こども・子育てファミリーマーケットは園児やPTA、教職員まで含めると約319万人のマーケット規模となり、企業にとってもプロモーション効果の高い領域となっている。
また、最近ではCSR活動の一環として同プロジェクトに参加する企業も増えている。
このため、同社では今後もこれら企業に対する受注提案を積極的に取り組み、SPコンサルティングの売上増につなげていく考えだ。


また、同社では新たなコンサルティングサービスとしてWebプロモーションコンサルティングもSPコンサルティング事業の中で今下期からスタートさせている。
Google合同会社、ヤフー株式会社 (T:4689)とパートナーとなり、Web診断(Web活用状況の把握)を行い、最適なWebプロモーションコンサルティングを提供していく。
そのために、Webデザイナーやクリエイター、コピーライター等の専門人材の採用も進めている。
Webプロモーション施策に関しては大都市圏では多くの企業が取り組んでいるが、地域BtoB企業ではまだ十分に浸透しておらず、Web担当者も配置していない企業が多くある。
同社では北海道から沖縄まで全国展開する地域密着型のコンサルティング企業としての強みを生かして、これら地方企業の需要を掘り起こしていく戦略だ。


(2) ドメイン戦略の推進
ドメイン&ファンクション研究テーマの中から顧客企業の関心が高い「食品・フードサービス」「ヘルスケア」「住まいと暮らし」の3分野を事業化(東京本社内に専門部門を設置)した。
今後は、各分野で高度な専門課題を解決できるメソッドの開発、コンサルティングメニューの拡充とコンサルタント人員の増員を図りながら、全国の顧客を支援する体制を構築し、経営コンサルティングの契約数増につなげていく方針だ。
現在、専任のコンサルタント人員は3分野合計で10人弱となっている。


(3) アライアンス戦略の推進
アライアンス戦略に関しては、従来からの提携先金融機関(約100先)に向けた教育サービスやその先にある約150万社の中堅・中小企業に対するアライアンスコンサルティングサービスの機会創出に加えて、新たに成長M&Aコンサルティングについても協業して取り組んでいく。
従来も、M&Aについては個別で対応していたが、今後は顧客企業の成長戦略を実現するためのM&Aを、提携先金融機関等のネットワークを生かして積極的に取り組んでいく方針だ。
基本的に同社の顧客は買い手側となり、売り手側を提携先の金融機関等から紹介してもらうことになる。
同社は、M&A戦略の策定からデューデリジェンス、経営統合(PMI)までをワンストップで支援していくことで、他社との差別化を図る戦略だ。
地域金融機関でも収益の多様化を進めるため、M&A分野に注力しており、今後の収益増に寄与する取組みとして期待される。


(4) 地域FCC(ファーストコールコンサルティングファーム)戦略の推進
経営コンサルタント、人材育成コンサルタント、SPコンサルタントが1つのチームとなり、顧客企業の事業・組織・人材育成からプロモーション戦略、ブランディング戦略、デザイン・商品開発までをワンストップで支援する体制を構築し、地域の中堅・中小企業の成長を後押ししていく。
これは、同業の中で唯一、事業拠点を全国10都市に展開している同社の強みを生かした戦略と言える。


3. 中期経営計画
同社は毎年、3年間の中期経営数値目標をローリングして発表している。
2020年3月期は売上高9,000百万円、営業利益980百万円、経常利益1,000百万円、当期純利益680百万円を設定している。
2020年3月期までの平均成長率で見れば、売上高で2.4%、経常利益で3.0%と堅実な成長を計画している。


事業セグメント別で見ても、経営コンサルティング事業、SP(セールスプロモーション)コンサルティング事業の売上高は平均成長率でそれぞれ2%台となっており、営業利益は経営コンサルティング事業が2.8%、SPコンサルティング事業が3.7%といずれも堅実な成長を計画している。



主要KPIとしているチームコンサルティング(経営コンサルティング、人材育成コンサルティング、SPコンサルティングの合計)の売上高及び社数については、2017年3月期の3,076百万円、510社から、2020年3月期は3,340百万円、550社に拡大していく計画となっている。
顧客基盤(戦略ドメイン&マネジメント研究会、セミナー参加企業数)を4,863社から6,300社まで拡大していくことで、チームコンサルティング契約社数を伸ばしていく。
チームコンサルティングの売上成長率は年率2.8%と全社平均を若干程度上回るペースとなるが、直近2期間で年率7.3%成長だったこと、当第2四半期累計も前年同期比で5.1%増と伸長していることからすると、保守的な印象が強い。
特に、今後は「FCCアカデミー(企業内大学)設立コンサルティング」「成長M&Aコンサルティング」「Webプロモーションコンサルティング」といった新たなコンサルティングサービスが拡大していくことも考えれば、計画を上回るペースで成長が期待できると弊社では見ている。
また、チームコンサルティングの売上げが拡大すれば、利益率もさらに上昇することが予想される。


こうした売上成長の鍵を握るのは人材であり、コンサルタント人員をいかに増員し、早期に戦力化していくことができるかにかかっている。
コンサルタント人員は2017年3月期末の215名から2020年3月期末は254名へと増員していく計画となっている。
2018年3月期末は234名と前期末比で19名増を計画しているが、第2四半期末で225名とほぼ予定どおりの進捗となっている。
ここ数年、コンサルタントの人材採用は同社の課題であったが、人材紹介会社の契約先を増やして積極的な採用活動を進めていることが奏効していると考えられる。


今後はM&Aコンサルタントや、Webプロモーションコンサルティング強化のためのWebデザイナーやクリエイター、コピーライター等の採用、あるいは地域に貢献できるIターン、Uターン採用も積極的に推進していく方針だ。
また、女性マーケットの拡大が続くなかで、女性視点でのコンサルティングが重要との観点から女性コンサルタントの増員にも注力していく。
人事制度も2019年3月期より新しく変えていく計画で、経営コンサルタントについては従来から年俸制を導入していたが、人材育成コンサルタント・SPコンサルタントについても付加価値向上に取り組んでいく戦略から、年俸制を導入して能力や実績に応じた賃金制度に改めていく。
このため、人件費率については今後若干程度上昇していくものと予想される。
なお、コンサルタントの増員ペースに対して今後の売上成長率が低く見えるが、これは売上高を保守的に見ていることや、採用したコンサルタントの育成期間になっていることが要因で、これらコンサルタントの戦力化が進めば、売上成長率も高まっていくと予想される。


(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

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