■業績動向
1. 2018年3月期第2四半期累計業績の概要
早稲田アカデミー (T:4718)の2018年3月期第2四半期累計の連結業績は、売上高が前年同期比5.7%増の10,665百万円、営業利益が同8.5%減の428百万円、経常利益が同9.6%減の424百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同20.7%減の234百万円となった。
売上高は半期ベースで7期連続増収に、利益は費用増により減益となったもののいずれも会社計画は上回った。
売上高については、期中平均生徒数が前年同期比6.4%増の33,607人と過去最高を更新し、順調に拡大したことが増収要因となった。
生徒数の伸長率に関してはここ数年で最も高い伸びとなっている。
伸び率が好調だった要因としては、1)2017年春の中学、高校入試において合格実績が伸び、他塾に対する優位性が高まった、2)昨春、難関中学校に合格した芦田愛菜(あしだまな)さんを広告に起用し、大きな反響を呼んだ、3)ホームページを全面リニューアルし、ユーザーが求める情報にアクセスしやすい表示やニーズに合わせたコンテンツを開発した、などが挙げられる。
これらの効果により、早稲田アカデミー単体ベースで資料請求の問い合わせ件数が前年同期比26.1%増(うち、小学部は37.8%増)と大きく伸長し、入塾生徒数の増加につながった。
また、その他にも、退塾率を抑える取り組みを前期から注力しており、その効果が出始めていることも一因となっている。
部門別の動向を見ると小学部が特に好調で、生徒数で11.6%増、売上高で10.0%増と突出した伸びを示した。
芦田愛菜さんの広告効果が最も寄与したと考えられる。
また、中学部は生徒数で1.7%増、売上高で1.5%増、高校部は生徒数で2.3%増、売上高で3.0%増とそれぞれ堅調に推移した。
当第2四半期累計期間でもう1つ特徴的だったのは、各部ともに低学年の生徒数の伸びが高かったことだ。
例えば、小学部では3年生が19.3%増、4年生が16.5%増となり、中学部では1年生が6.6%増、高校部では1年生が15.6%増とそれぞれ部門の平均を大きく上回る伸びとなった。
通常、これら好調だった学年の生徒数の伸びは次年度以降にもほぼ近い形で引き継がれるため、2019年3月期の全体の生徒数伸長率もさらに拡大することが予想される。
費用面では、売上原価率が前年同期比で0.9ポイント改善した。
生徒数の増加や教材の発注方法変更等による影響で原材料費率が同0.2ポイント上昇したが、地域特性に合わせた校舎営業日・時間の見直しや変形労働時間制の活用により労務費率が同0.4ポイント改善、地代家賃等その他の費用も増収効果によって改善した。
また、販管費率については前年同期比1.6ポイント上昇した。
本社機能の強化に向け人材開発部や営業戦略部を新たに立ち上げたほか、教務部小学課及び中学課をそれぞれ部に昇格させたこと等により労務費率が同0.8ポイント上昇したほか、新基幹システムの稼働に伴い教材管理や配送業務などのアウトソーシング化を実施し、支払手数料率が同0.8ポイント上昇したことが要因となっている。
この結果、売上高営業利益率は前年同期比0.6ポイント低下した。
なお、8月より新基幹システムが稼働したことにより、教材デリバリー(家庭への配送)及び在庫管理のアウトソーシング、校舎受付でのキャッシュレス化、管理業務のペーパーレス化等が実現し、顧客サービスの向上と業務効率の大幅な改善を実現している。
これらの効果により来期以降は校舎における事務職員の労働時間を2割程度削減できると予測しており、今後、労務費率の低減効果が期待できる。
子会社の業績動向について見ると、医歯薬専門予備校の野田学園は既卒生の減少により減収減益となったものの、ほぼ会社計画どおりの進捗となっている。
一方、水戸アカデミーについては生徒数が着実に増加し、期初計画を若干上回る増収増益となった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
1. 2018年3月期第2四半期累計業績の概要
早稲田アカデミー (T:4718)の2018年3月期第2四半期累計の連結業績は、売上高が前年同期比5.7%増の10,665百万円、営業利益が同8.5%減の428百万円、経常利益が同9.6%減の424百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同20.7%減の234百万円となった。
売上高は半期ベースで7期連続増収に、利益は費用増により減益となったもののいずれも会社計画は上回った。
売上高については、期中平均生徒数が前年同期比6.4%増の33,607人と過去最高を更新し、順調に拡大したことが増収要因となった。
生徒数の伸長率に関してはここ数年で最も高い伸びとなっている。
伸び率が好調だった要因としては、1)2017年春の中学、高校入試において合格実績が伸び、他塾に対する優位性が高まった、2)昨春、難関中学校に合格した芦田愛菜(あしだまな)さんを広告に起用し、大きな反響を呼んだ、3)ホームページを全面リニューアルし、ユーザーが求める情報にアクセスしやすい表示やニーズに合わせたコンテンツを開発した、などが挙げられる。
これらの効果により、早稲田アカデミー単体ベースで資料請求の問い合わせ件数が前年同期比26.1%増(うち、小学部は37.8%増)と大きく伸長し、入塾生徒数の増加につながった。
また、その他にも、退塾率を抑える取り組みを前期から注力しており、その効果が出始めていることも一因となっている。
部門別の動向を見ると小学部が特に好調で、生徒数で11.6%増、売上高で10.0%増と突出した伸びを示した。
芦田愛菜さんの広告効果が最も寄与したと考えられる。
また、中学部は生徒数で1.7%増、売上高で1.5%増、高校部は生徒数で2.3%増、売上高で3.0%増とそれぞれ堅調に推移した。
当第2四半期累計期間でもう1つ特徴的だったのは、各部ともに低学年の生徒数の伸びが高かったことだ。
例えば、小学部では3年生が19.3%増、4年生が16.5%増となり、中学部では1年生が6.6%増、高校部では1年生が15.6%増とそれぞれ部門の平均を大きく上回る伸びとなった。
通常、これら好調だった学年の生徒数の伸びは次年度以降にもほぼ近い形で引き継がれるため、2019年3月期の全体の生徒数伸長率もさらに拡大することが予想される。
費用面では、売上原価率が前年同期比で0.9ポイント改善した。
生徒数の増加や教材の発注方法変更等による影響で原材料費率が同0.2ポイント上昇したが、地域特性に合わせた校舎営業日・時間の見直しや変形労働時間制の活用により労務費率が同0.4ポイント改善、地代家賃等その他の費用も増収効果によって改善した。
また、販管費率については前年同期比1.6ポイント上昇した。
本社機能の強化に向け人材開発部や営業戦略部を新たに立ち上げたほか、教務部小学課及び中学課をそれぞれ部に昇格させたこと等により労務費率が同0.8ポイント上昇したほか、新基幹システムの稼働に伴い教材管理や配送業務などのアウトソーシング化を実施し、支払手数料率が同0.8ポイント上昇したことが要因となっている。
この結果、売上高営業利益率は前年同期比0.6ポイント低下した。
なお、8月より新基幹システムが稼働したことにより、教材デリバリー(家庭への配送)及び在庫管理のアウトソーシング、校舎受付でのキャッシュレス化、管理業務のペーパーレス化等が実現し、顧客サービスの向上と業務効率の大幅な改善を実現している。
これらの効果により来期以降は校舎における事務職員の労働時間を2割程度削減できると予測しており、今後、労務費率の低減効果が期待できる。
子会社の業績動向について見ると、医歯薬専門予備校の野田学園は既卒生の減少により減収減益となったものの、ほぼ会社計画どおりの進捗となっている。
一方、水戸アカデミーについては生徒数が着実に増加し、期初計画を若干上回る増収増益となった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)