Hannah Lang
[11日 ロイター] - 暗号資産(仮想通貨)は上り調子で今年を終えそうだ。投資家は来年、米連邦準備理事会(FRB)の金融政策や、米当局による現物型ビットコイン上場投資信託(ETF)の承認状況などを見極めて投資方針を決めるとみられる。
仮想通貨は昨年、交換業大手FTXの破綻と創業者に対する有罪判決などスキャンダルが相次いだが、今年は価格が反発。ビットコインは年初に比べ2倍以上に上昇して11月には20カ月ぶり高値の4万2000ドルを付けた。今月8日までの状況を見ると、今年は2020年以来で最も値上がり率の大きい年となっている。
相場を支えたのは、インフレ鎮静化により世界的に利上げが打ち止めになり、来年は利下げに転じるとの期待だ。加えて、米証券取引委員会(SEC)が、業界の念願だったビットコイン現物型ETFを近く承認する見通しと報じられたことや、ビットコインが来年4月に「半減」期を迎えて供給が減るとの期待も追い風となっている。
コインシェアーズの調査責任者、ジェームズ・バターフィル氏は「2024年には、さまざまな好材料が重なりそうだ」とし、「ビットコインのバブルを破裂させたのは金利上昇だったが、次の上昇相場に火を付けるのはおそらく利下げだろう」と語った。
ビットコインの過去最高値は、2021年に付けた6万9000ドルだ。コロナ禍による個人投資家のカネ余りと、過去最低まで下がった金利が支援材料だった。現在、FRBは早期利下げをけん制している。
メディオバンカ(イタリア)の共同調査責任者、アンドレア・フィルトリ氏は、今の仮想通貨を取り巻く環境は当時とは程遠いとし、利下げに伴って相場が当時のような軌道をたどるとまでは確信が持てないと述べた。
ビットコインの現物ETFが承認されれば、仮想通貨業界の正当性が高まると一部で期待されている。
ビットバンクのマーケット・アナリスト、長谷川友哉氏は、市場は既に承認を織り込んでいるため、承認直後には相場が調整するかもしれないが、長期的にはビットコイン現物型ETFによって年間数千億ドルの資金がビットコイン市場に流れ込む可能性がある、との見方を示した。
4月にはビットコインの「半減」が予想されている。これは供給量の上限が2100万トークンと決まっているビットコインの発行ペースを遅らせるために実施されるもので、過去3回の半減期には相場が上昇した。
ただコインシェアーズのバターフィル氏は、今回は市場環境が異なるため、再び上昇するかどうかは不明だと述べた。
*カテゴリーを追加します