[ジュネーブ 22日 ロイター] - 世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は22日、トランプ米政権が資金拠出停止を巡る決定を再考することを望むとしつつも、現在の焦点は新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)の終息と救命だと強調した。
テドロス氏は「資金拠出停止の決定が見直され、米国が再びWHOを支援し、引き続き人命を救うことを望んでいる」とし、「他国だけでなく米国の安全を維持する上でこれが重要な投資であると米国が確信していることを望む」とした。
トランプ米大統領は今月、WHOの新型コロナ対応を批判し、WHOへの資金拠出を少なくとも一時的に停止するよう政権に指示したと明らかにした。
WHOの対応が後手に回ったとの批判が高まる中、テドロス氏はWHOが1月30日まで際的な公衆衛生上の緊急事態を宣言しなかったことについて、「われわれは適時に宣言したと考える。世界各国に対応のための十分な時間を与えた」と擁護した。
また、アフリカや中南米諸国の一部では「懸念される拡大傾向」が見られると指摘した。
欧州の一部では状況の安定化が確認されているものの、「間違いなく道のりはまだ長い」とし、新型コロナ危機が長期間続くとの見通しを示した。
WHOの緊急事態対応部門を統括するマイケル・ライアン氏も、ソマリアではこの1週間で感染者が約300%急増したことに言及し、「アフリカでは感染の初期局面にある」と述べた。
世界の渡航再開については「慎重なリスク管理」が必要とし、早急な渡航制限解除に警鐘を鳴らした。