[ベルリン 15日 ロイター] - ドイツ政府は、新型コロナウイルスの危機に対応するために憲法に定められた債務上限規定を今年に続き2021年も停止する見込みだ。独経済紙ハンデルスブラットが15日、政府当局者の発言を報じた。
報道について質問された財務省の報道官は、政府は今年の対応に取り組んでいるとし、追加で対策を打てる基盤があることを確かめるために今後の税収についても推計していると述べた。
ドイツでは債務上限規定の下、新規債券発行額が国内総生産(GDP)の最大0.35%に当たる規模と決められている。ただ、政府が制御できず国の財政に大きく影響するような自然災害や「異例な緊急事態」の際は上限を超えることが許される。
議会は3月、債務上限規定を停止することを認め、新型ウイルスを受けた景気鈍化に対応するために7500億ユーロ(8106億ドル)規模の景気刺激策を可決した。21年も債務上限規定を停止する場合、議会が再び可決する必要がある。
15日発表されたドイツの第1・四半期GDPは09年以来最大の落ち込みとなった。ドイツは3月中旬まで封鎖措置を導入しなかったため、封鎖による経済への打撃は大半が第2・四半期GDPに表れる見通しだ。
ハンデルスブラット紙によると、21年に債務上限規定を停止しなかった場合、発行できる債券額は170億ー180億ユーロにとどまる。
ショルツ財務相は14日、税収急減を受けても、企業支援に向けた景気刺激策の6月導入を停止することはないと述べた。
クキース財務次官は15日、ドイツは財政面な余裕があると指摘。債務はGDP比でこれまでの60%から75%へ迫る可能性が高いと試算。世界金融危機の際は、07年の64%から10年に82%まで拡大したことを引き合いに出し、今回はその水準を下回ると予想した。