[マドリード 18日 ロイター] - スペイン中銀のデコス総裁は18日、新型コロナウイルスの流行について、国内経済への影響が当初の予想より長く厳しいものになる可能性があるとの認識を示した。
スペイン経済は観光産業への依存度が高い。同国は世界でも特に深刻な感染拡大に見舞われている。
第1・四半期の国内総生産(GDP)は5.2%減だったが、第2・四半期は大幅な悪化が見込まれるという。
総裁は議会で「ショックは当初の予想より長期化する可能性が高い。長期化すれば、持続的なダメージを国内経済に与える可能性が高まる」と述べた。
スペイン中銀は4月、2020年のGDPを6.8-12.4%減と予想していたが、現時点では9.5-12.4%減になるとみているという。ただ、2021年は6.1-8.5%増に回復する見通し。
総裁は、スペイン経済が新型コロナ流行の影響を特に受けやすいと指摘。社会的な距離を保つ政策により、GDPの25%を占める観光・接客・輸送・小売り産業が相対的に大きな影響を受けるとの見方を示した。
総裁は「こうした産業の正常化は先行きが不透明だが、混乱がさらに長引く可能性を否定できない」とし、こうした産業に一時的に資金を供与する措置を延長すべきだと述べた。
総裁は、財政健全化と構造改革という長期的な戦略を採用するには、政党間の広範な政治的合意が必要になるとも主張。
スペイン中銀は、最悪のシナリオで2020年の財政赤字がGDP比11%、債務がGDP比120%超になると予測しており、新型コロナの感染拡大が終息し、経済への影響が抑制されれば、公的債務の管理が重要な課題になるとの認識を示した。
中銀の推計によると、財政赤字は新型コロナの感染拡大が始まった時点ではGDP比3%前後だった。 OLJPWORLD Reuters Japan Online Report World News 20200518T235744+0000