[シドニー 19日 ロイター] - オーストラリア準備銀行(中央銀行、RBA)は19日、今月開いた理事会の議事要旨を公表した。理事会では、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)により豪経済は「前例のない」著しい縮小に直面しているとの認識が示された。
ただ、財政・金融両面の大規模な刺激策が打撃を和らげる見込みとした。
中銀は5日に開いた理事会で、政策金利を予想通り過去最低の0.25%に据え置いた。また、3年物国債利回りを0.25%付近に維持するため、必要なだけ国債を買い入れるとあらためて表明した。
議事要旨では、理事会メンバーが景気のさまざまなシナリオを議論したことが示された。基本シナリオでは今年上半期の国内総生産(GDP)が10%、年間では6%、それぞれ減少すると予想した。
中銀は「このようなスピードと規模の経済縮小は、60年間にわたるオーストラリアの四半期ベースの国民経済計算の歴史で前例がないといえる」と指摘。
「メンバーからは、経済縮小と予想される回復の性質も前例がないとの指摘が出た。原因が経済・金融面の要因ではなく、公衆衛生上の要因であるためだ」としている。
オーストラリアは1990年代初め以降、「テクニカル・リセッション」(2四半期連続のマイナス成長)には陥っていない。
同国では新型コロナの感染拡大ペースが鈍化しており、段階的に経済活動を再開している。ただ国境の封鎖は長期化するとみられている。
経済活動の再開は予想より早く進んでいるが、失業率は2021年末まで高止まりする見通し。インフレ率も今後数年は中銀の中期目標である2-3%を下回るとみられている。
中銀は「こうした見通しを踏まえ、理事会は資金調達コストを低く抑え、家計と企業への与信を維持するため、経済を支える努力を継続していく」と表明した。
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