[ 7日 ロイター] - 英ジェネリック医薬品メーカー、ヒクマ・ファーマシューティカルズ (L:HIK)は7日、米バイオ医薬品企業ギリアド・サイエンシズ (O:GILD)とポルトガルで結んだ契約に基づき、ギリアドの抗ウイルス薬「レムデシビル」の製造を開始すると発表した。ギリアドは新型コロナウイルスの治療薬として使われているレムデシビルの供給を増やすために製造を外注している。
入院している新型コロナ患者の臨床試験で効果が示された薬はレムデシビルを含め2つにとどまっており、レムデシビルは新型コロナ治療薬として最有力候補となっている。
ヒクマのオラフソン最高経営責任者(CEO)は「近いうちに」まとまった数の薬を供給し始め、ギリアドが販売する見込みだと述べた。オラフソン氏はロイターとのインタビューで「契約内容は明らかにできないが、われわれは単純にギリアドの製造請負業者だ。ギリアドが売り上げ見通しに沿ってわれわれに薬を発注する」と説明した。
レムデシビルは静脈注射で投与される薬で、世界各地で新型コロナ治療薬として条件付きで承認されているか支持されている。新型コロナ感染症による世界の死者数は80万人を超えた。
ギリアドが7─9月の間にほぼ全ての薬を米国に供給することに合意したことで、その他の地域での利用に関して不安が高まった。
米国では州司法長官の超党派連合が今週、レムデシビルの供給を増やし価格を下げるためにほかの企業に対してもレムデシビルを製造する許可を出すように政府に促した。
米製薬大手ファイザー (N:PFE)は7日、レムデシビルの製造と供給に関してギリアドと複数年契約を交わしたと述べた。
ギリアドは6日、レムデシビルの製造業者が北米と欧州、アジアにおける40社超の企業に拡大したと明らかにした。ギリアドは6月、年末までに200万人超の新型コロナ患者を治療する量のレムデシビルを供給することを目指すと宣言。従来の100万人から倍以上に目標を引き上げた。
ギリアドは127カ国でレムデシビルを提供するため、エジプトとインド、パキスタンでシプラ (NS:CIPL)やジュビラント・サイエンシズ (NS:JULS)、ヘテロ・ラブズなど複数のジェネリック医薬品メーカーと契約を結んでいる。
ギリアドとの契約を発表したことでヒクマ株は10%超値上がりした。上半期の営業利益が増えたことや売り上げ見通しを引き上げたことも買い材料だった。
アナリストは、この契約について「ヒクマが必須の医薬品に関する信頼できる調達元として存在感を増している」ことを示すと話した。 OLJPWORLD Reuters Japan Online Report World News 20200807T162443+0000