[ワシントン 25日 ロイター] - バイデン米大統領が「米国救済計画(American Rescue Plan)」として提案した1兆9000億ドル規模の新型コロナウイルス追加経済対策法案は、有権者をはじめ、経済界や地方政府などから幅広い支持を集めているが、議会共和党からの支持だけは得られそうにない。
下院は早ければ26日にも同法案の採決を行う予定だ。だが、議会共和党指導部は法案への反対で共和党議員に結束を呼び掛けているほか、当初はバイデン政権との協力に前向きだった穏健派の共和党議員も対策のコストを問題視して反対している。
共和党ながらトランプ前大統領の弾劾に賛成票を投じたロムニー上院議員は今週、同法案は「無駄」だと批判。トゥーミー上院議員も、法案は「完全に党派心に基づくもので経済の現実から離れている」と述べた。
民主党は上院をかろうじて支配しているため、共和党の支持が得られなくても法案の可決が可能だ。ただ、就任時に超党派への回帰を約束しているバイデン大統領にとって、今回の大型法案で共和党の支持を得られないことは、今後4年の任期中に共和党との厳しい戦いが続くことを意味する。
ホワイトハウスのサキ報道官は25日、記者団に対し、バイデン氏は経済対策法案への支持を得ようと全力を尽くしていると説明。共和党員の過半数を含む国民の70%が法案を支持しているとの世論調査結果を引き合いに出し、「大統領は共和党議員が有権者の希望に沿って行動するよう願っている」と語った。
<政権挙げた宣伝活動で支持拡大>
バイデン政権が推進する追加経済対策法案には、ワクチンや医療品の供給支援、失業給付上乗せ、1400ドルの直接給付、中小企業支援、3500億ドルの州・地方政府への支援が含まれる。
ホワイトハウスは経済対策法案の宣伝にハリス副大統領、イエレン財務長官、ディーズ国家経済会議(NEC)委員長も動員し、全米向けに支持を訴えるキャンペーンを展開した。
バイデン大統領は先週、ミシガン州にある製薬大手ファイザーの工場を視察し、ウィスコンシン州では経済対策に関するタウンホールを開いた。
ホワイトハウスはスペイン語メディアでも経済対策法案への支持を呼び掛けたほか、先住民部族のリーダー300人あまりと協議し、アフリカ系米国人向けのニュースメディアとの特別会見も開いた。
このキャンペーンで、多くの人々が法案に賛同し、共和党の有権者だけでなく、同党の大口献金者や州当局者からも支持を得た。
米キニピアック大学による今月の世論調査では、約70%がバイデン氏のコロナ対策を支持。共和党の過半数を含む約80%が1400ドルの直接給付案を支持した。
トランプ前大統領の支持者として有名な米投資会社ブラックストーンのシュワルツマン最高経営責任者(CEO)ら企業のトップ100人あまりが24日付の書簡で、議会に超党派によるコロナ対策法案の迅速な承認を呼び掛けた。このほか、30を超える共和党の市長らが法案への支持を表明した。
一方、議会共和党指導部は、トランプ前大統領が扇動した1月の議会襲撃事件後に深まった党内の分断を、経済対策法案に結束して反対することで修復し、団結心を取り戻そうとしている。
共和党は1月下旬、経済対策法案の縮小を求め、6000億ドル規模の代替案を示したが、ホワイトハウスは不十分として退けていた。
バイデン政権と共和党の戦いは今後も続く見込みだ。だが、バイデン大統領の政治顧問であるマイク・ドニロン氏は今月、政権スタッフ宛てのメモで、国民の大半が支持する法案に反対することで共和党の立場は弱まると指摘した。
(記者:arrett Renshaw、Andrea Shalal、Trevor Hunnicutt)
*見出しの体裁を修正し、再送します。