[ジュネーブ 3日 ロイター] - 北朝鮮の人権問題を担当する国連のキンタナ特別報告者は、北朝鮮が新型コロナウイルス感染拡大抑制のため講じている厳しい措置により、人権侵害や飢餓を含む経済困窮が助長されていると述べた。
中国と国境を接する北朝鮮ではまだ感染者が報告されていないが、過去1年にわたって国境を封鎖して大半の海外渡航を禁止し、国内移動も極度に制限している。
キンタナ氏はロイターが閲覧した報告で、「新型コロナ感染流行中に北朝鮮が外部からの孤立を深めるにつれ、これまでも常態化している人権侵害が助長されているもようだ」と述べた。
同氏は北朝鮮当局に対し、「感染予防措置に伴うマイナスの結果が感染自体の影響を不当に上回らないよう」確実な配慮を求めた。
キンタナ氏によると、中国との貿易減少で市場の活動が著しく縮小し、小規模な市場での活動に依存する多くの家計で所得が減少している。
同氏は、「必需品、医薬品、農業に必要な物資、国営工場への原材料供給が不足している」とし、昨年の台風襲来と洪水発生が「深刻な食糧危機」をもたらす可能性があると懸念を表明。「餓死の例が報告されているほか、家族が扶養できなくなった子どもや高齢者が物乞いを行なうケースが増加している」と報告した。
人道支援活動はほぼ停止状態にあり、現在国内に残っている国際支援スタッフはわずか3人。輸入規制のため支援物資が7カ月間も中国国境に足止めされているという。