[ワシントン 20日 ロイター] - 米労働省が20日に発表した5月15日までの1週間の新規失業保険申請件数(季節調整済み)は44万4000件と、前週の47万8000件から改善し、新型コロナウイルスの感染第1波に見舞われた昨年3月中旬以来の低水準を更新した。ただ人手不足が引き続き課題となっている。
市場予想は45万件だった。申請件数が50万件を下回るのは2週連続。昨年4月上旬に記録した過去最悪の614万9000件からは大幅に減少する一方、健全な労働市場を示すとされる20万─25万件と比べてなお2倍近い水準にとどまっている。
フィラデルフィア連銀が発表した5月の業況統計によると、業況指数や内訳の従業員数がそろって低下。労働力や原材料の不足が背景にあるとみられる。また、経済再開に伴いペントアップ需要(繰越需要)が顕在化する中、供給制約(ボトルネック)も発生しており、回復を阻害する恐れがある。
ブリーン・キャピタルのシニア経済アドバイザー、コンラッド・デクワドロス氏は「データを額面通りに受け取れば、解雇の減少と雇用の鈍化の両方が起きていることになる。労働需要が拡大していることから、労働供給の縮小が影響していると考えられる」と述べた。
一部の専門家は、政府の手厚い対策が失業保険手当の申請を促していると指摘するが、少なくとも全米21州が来月から政府の失業プログラムを打ち切ると発表しており、失業保険申請は今後さらに減少する見込みだ。
初回給付以降も継続して失業保険を受け取った人は、5月8日までの1週間で11万1000人増加し375万1000人。何らかの失業手当を受けている人は5月初めの時点で約1600万人に上る。