[上海 7日 ロイター] - 中国のような新型コロナウイルス感染を徹底的に封じ込める「ゼロコロナ戦略」を実施している地域で人の移動を通常の水準に戻すと、年間約200万人の死亡者が出る恐れがある。中国の研究者チームが4日発表した。
中国は北京で冬季五輪を開催する一方、感染力の強いオミクロン変異株の拡大防止のための大規模規制をしているため、この数週間に「ゼロコロナ戦略」に基づく監視の目が厳しくなっている。
中国の科学者や公衆衛生専門家は、感染リスクが非常に高く、大量感染は医療体制に耐え難い負担になると指摘し、厳格な管理を維持する必要性を繰り返している。
研究者らはチリと英国での研究をもとに、現行ワクチンの「ベースラインからの有効性」を算出した。チリの場合はシノバック・バイオテック(科興控股生物化学)の新型コロナワクチンであるコロナバック、英国は米ファイザーと英オックスフォード・アストラゼネカのワクチンが使用された。ベースラインからの有効性は有症の疾患に対して68.3%、ワクチンの死亡に対する有効性は86%と推定された。
感染に対する有効性は英国のデータに基づいて30%と推定。有症疾患や死亡に対する有効性は、チリで行われたシノバックのコロナバックの研究データに基づく。
しかし、全世界のワクチン接種率が95%でも、人口の流動性が2019年の水準に回復した場合、ゼロコロナの全地域で1年以内に2億3400万人超の感染者が発生し、うち6400万人が症状を訴え、200万人が死亡すると推定した。
中国の研究者チームは中国疾病管理予防センター(CCDC)の週報に掲載された論文で「人類は世界レベルで新型コロナを撲滅するために、ワクチン開発を継続し感染に対するワクチンの防御力を向上させる新たな方法を模索すべきだ」と訴えた。
通常の人口移動に戻った後で新型コロナの発生をインフルエンザの水準まで下げるには、感染に対するワクチンの有効性を40%、有症疾患に対する有効性を90%まで高める必要があるとしている。
研究者チームは、新しいワクチンは有症疾患や死亡に対する効果よりも感染に対する効果が重要として「新型コロナを制御する鍵は、より効果的な感染防止ワクチンの開発とその広範な使用にある」との見方を示した。