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アングル:「ゼロコロナ」で中国に節約志向、高級ブランドに影

発行済 2022-05-27 11:23
更新済 2022-05-27 11:27
© Reuters.  5月20日、上海の老舗美容系企業でマーケティングマネジャーとして働くコウさんは今年、いつもなら「1つか2つ」買っている高級ブランドのバッグ購入をやめて、お金を節約するつ

[上海/ミラノ 20日 ロイター] - 上海の老舗美容系企業でマーケティングマネジャーとして働くコウさん(28)は今年、いつもなら「1つか2つ」買っている高級ブランドのバッグ購入をやめて、お金を節約するつもりだ。これが欧米高級ブランド品メーカーにとっては、頭の痛い問題になっている。

中国が現在推進している「ゼロコロナ」政策とそれに伴うロックダウン(都市封鎖)や各種規制、経済的な影響が、国内消費者の家計防衛意識に影を落とすようになった。

コウさんも「高級な服であれハンドバッグであれ、今は間違いなく不要だと思う。(なぜなら)私の金銭的な状況がどうなるか分からないからだ。われわれは経済を巡るこの不透明感から身を守らなければならないとはっきりと感じている」と語った。

彼女の発言が、中国の都市部における若く都会的な中間層の働き手の典型だとすれば、中国本土市場に大きく頼る形で近年の成長を実現してきた欧米高級ブランド品メーカーにはまさに耳にしたくないニュースということになる。

コンサルティング企業ベイン・アンド・カンパニーによると、昨年時点で世界の高級品向け個人消費支出において、中国のシェアは21%と北米、欧州に次ぐ3番目の大きさだった。2025年までには世界最大の市場になるとも見込まれている。

世界の多くの地域では、新型コロナウイルスのパンデミックで制約を受けていた社会生活が正常に戻るとともに、高級品の売上高が急増しており、特に米国でそうした傾向が目立つ。それに冷や水を浴びせる形で売上高が減少している中国は、高級ブランド品メーカーが目指す野心的な成長を脅かす存在だ。

仏LVMHや英ウォッチズ・オブ・スイッツランドから米エスティーローダーまでがここ数週間で、業績見通しは中国のロックダウンがいつまで続くかに左右される部分があると相次いで認めた。それでも各社の間には、2020年の最初のロックダウン解除後に見られたような素早い消費回復を期待する見方がなお大勢で、これがリスクにもなっている。

バーバリーのジュリー・ブラウン最高執行責任者(COO)兼最高財務責任者(CFO)はこのほど「われわれは(消費)回復を想定し、それに備えている。在庫も仕入れ、先手を打って投資している」と語った。

一方でリシュモンのルパート会長は20日、慎重な姿勢を維持し、中国経済の苦境が大方の予想より長引いて、この先消費者の態度はより「保守的」になっていくと警告。「中国が封鎖状態から抜け出す局面でも、欧米で目にされたほど迅速な持ち直しにはならない」と述べ、多くの企業が従業員を解雇するとの見通しを示した。

リシュモンと同じく中国依存度の高いバーバリー(売上高比率は約33%)も、中国本土の小売店ネットワークは4割が稼働しておらず、倉庫が閉鎖されているのでオンライン配送もほぼ休止状態にあると明かした。

コンサルティング企業オリバー・ワイマンの小売り・消費財パートナー、イムケ・ウーターズ氏は「以前よりも曲折をたどる回復になる」とみている。

<爆買いから豊かな時間追求へ>

有力高級ブランド品メーカーの株価は昨年8月、中国の習近平国家主席が「共同富裕」の理念を掲げ所得格差解消を提唱すると、大打撃を受けた。それまで中国の中間層が高級品消費をけん引してきたのに、もはや社会的地位を象徴するブランド品を持つのは時流にそぐわないとみなされる恐れが出てきたためだ。

ただ当時、各ブランド品メーカーの幹部は、習氏の政策は超富裕層を標的にした面が強いとみなしていた。例えばLVMHのジャンジャック・ギオニーCFOは「これがアッパーミドル層や準富裕層というわれわれの顧客の大半を占める人々にとって弊害になり得ると考える理由は見当たらない」と断言した。

しかしゼロコロナ政策は、共同富裕よりも大きな脅威になってもおかしくない。ゼロコロナは、これから高級品の買い手になる人々を含め、中国の大多数の消費者に悪影響を及ぼす公算が大きいからだ。

ゼロコロナに起因する経済的打撃の定量化、ないし現在のロックダウンがいつ終わるのかや、これが最後になるのかを予測するのは難しい。

とはいえナティクシスのアジア太平洋担当チーフエコノミスト、アリシア・ガルシア・エレロ氏は、今では4億人に上り、長らく隆盛を誇ってきた中国の中間層が足元のパンデミックで明らかに窮迫しているとの見方を示した。

チャイナ・マーケット・リサーチ・グループのディレクター、ベン・カベンダー氏は、不相応なほどの痛手を受けているのは若者で、彼らの失業率は上昇していると指摘。さらに各ブランドメーカーが近年、「爆買い」をしてくれる中国の「Z世代」を市場のターゲットとして貪欲に事業展開してきたことも問題になると付け加えた。

カベンダー氏は、これから生活のバランスを取る上で「モノを買うという話には決してならず、友人や好きな人と質の高い時間を過ごすことが、社会的地位を確認する高級ブランド品(の所持)より優先されるだろう」と述べた。

( Casey Hall 記者、Silvia Aloisi 記者)

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