[東京 5日 ロイター] - 日本郵船 (T:9101)は5日、2021年3月期連結業績予想について営業利益を300億円(前年比22.5%減、従来予想130億円)、経常利益を700億円(同57.3%増、同200億円)に、当期利益を350億円(同12.4%増、同135億円)にそれぞれ上方修正すると発表した。定期船事業で需給改善によりスポット運賃が堅調に推移しているほか、航空運送事業や物流事業の収支改善を反映した。
年間配当は20年3月期を10円上回る50円の予想とした。
一般貨物輸送が想定以上に回復したことが大きな背景。コンテナ船を中心に「積み高が予想を上回った。巣ごもり需要が貢献した状況で、第2・四半期の段階で前年の水準まで回復を示している」(執行役員の丸山徹氏)という。航空貨物についても、便数は減少したもののそれによって積み荷スペースがひっ迫し、収支が改善した。
他方、不定期船に関しては荷動きが縮小しており、収益面での重しとなっている。そのため、同社ではドライバルクの構造改革を急ぎ、傭船の返却に引き続き取り組む。上半期には傭船返却に伴い発生が見込まれる損失見込み額を特別損失に計上した。
上半期(4─9月)の決算は、売上高7220億3100万円(前年同期比12.5%減)、営業利益166億9000万円(同5.4%増)、経常利益474億2800万円(同2.96倍)となった。減収増益となったのは、大手3社が共同で設立したコンテナ船事業の統合会社オーシャン・ネットワーク・エクスプレス(ONE)が、持ち分法適用会社のため会計上で利益計上にとどまることが大きい。
下半期、通期の見通しについては、新型コロナウイルス感染拡大第2波の影響が読みにくい中、緩やかに回復していくという。会社側では「米国については大丈夫だと思うが、欧州や資源国に不安が残る。輸送状況が地域によって異なるのではないか」(丸山執行役員)としている。
*内容を追加しました。