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デリカフHD Research Memo(3):カット野菜の販売好調と西東京FSセンター収益化で18/3期は増収増益に

発行済 2018-06-11 15:49
更新済 2018-06-11 16:00
デリカフHD Research Memo(3):カット野菜の販売好調と西東京FSセンター収益化で18/3期は増収増益に
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■業績動向

1. 2018年3月期の業績概要
デリカフーズホールディングス (T:3392)の2018年3月期の連結業績は売上高が前期比7.8%増の37,252百万円、営業利益が同24.5%増の694百万円、経常利益が同26.0%増の762百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同44.4%増の475百万円となり、売上高は8期連続増収、各利益項目は3期ぶりの増益となった。


夏場の長雨、秋口以降の相次ぐ台風上陸により野菜の収穫量が大幅に減少するなかで、調達価格の高騰及び品質の悪化によるカット野菜の生産性低下といった厳しい経営環境が続いたほか、組織再編に伴う費用や自社物流網の構築など先行投資が増加したこともあり、営業利益は会社計画を7.4%下回ったが、商品の価格転嫁が2017年12月以降に進んだこと、新規顧客の開拓及び取引シェアの拡大が続いたこと、付加価値の高いカット野菜や真空加熱野菜の売上が拡大したこと、2016年6月に開設した西東京FSセンターが稼働率上昇により収益化したこと等が増収増益要因となった。


(1) 部門別売上高
部門別の売上高を見ると、ホール野菜は前期比1.2%増の17,616百万円にとどまったものの、カット野菜が同16.7%増と好調に推移し、売上構成比率も前期の37.4%から40.5%まで上昇した。
カット野菜のうち、西東京FSセンターを中心に製造している真空加熱野菜については前期比2.7倍増の237百万円と順調に拡大した。
外食・中食業界では人手不足が慢性化しており、簡便に調理できるカット野菜や真空加熱野菜の需要が年々増加する傾向にある。


(2) 業態別売上高
業態別の売上高で見ると、主力のファミリーレストラン向けが前期比7.3%増と順調に拡大したほか、居酒屋・パブが同12.1%増、その他外食(喫茶・カフェ、アミューズメント)が同13.0%増、中食業界(総菜・弁当、食品メーカー・卸、給食、CVS等)向けが同10.5%増と2ケタ増収となり、ファストフード向けのみ同1.8%増と微増にとどまった。


2017年における外食チェーン全体の売上成長率と比較してみると、すべての業態で上回る伸びを見せている。
各業態ともに健康を意識したメニューや高付加価値メニューに注力しており、野菜の取扱量が全体的に増えていることも一因と考えられるが、顧客内取引シェアの拡大や新規顧客の開拓が進んでいることが同社の高い成長につながっていると考えられる。
特に、居酒屋・パブに関しては業界全体の売上規模が縮小するなかで、同社は顧客の開拓が進み2ケタ成長となった。
また、中食業界向けについては総菜需要の拡大を背景に拡大基調が続いているが、前期は大手スーパー等の小売業界向けの売上げが伸び始めたことも2ケタ増収に寄与したと見られる。


2. 事業セグメント別動向
(1) 青果物事業
主力の青果物事業は売上高が前期比7.7%増の37,144百万円、セグメント利益は同27.1%増の692百万円となった。
当期の拠点展開としては2017年10月に高槻センター(大阪府高槻市、売上能力約80百万円/月)、同年12月に平和島センター(東京都大田区、売上能力約1億円/月)を新たに開設し、取引量の拡大に対応した。
前述したように、天候不順による野菜価格の高騰や品質悪化による廃棄ロスの増加など仕入面での環境は厳しかったものの、2017年12月以降に価格転嫁が順調に進んだこと、また生産性改善・廃棄ロス削減活動に取り組んだこと、西東京FSセンターが収益化したこと等により、セグメント利益率は前期の1.6%から1.9%に回復した。


(2) 物流事業
物流事業の売上高は前期比40.7%増の2,105百万円、セグメント利益は同86.7%減の0.8百万円となった。
同事業においては大半がグループ内売上で、外部顧客への売上高は14百万円(2017年3月期6百万円)とまだ少ない。
減益となっているのは、配送車両の増強や営業所の開設に伴う人員増など先行投資費用の増加が要因となっている。
特に、車両の購入に伴って減価償却費が前期の1百万円から2018年3月期は27百万円に増加しており、償却前利益ベースで見れば前期の8百万円から2018年3月期は28百万円に増加したことになる。


当期の事業展開としては、2017年4月に名古屋営業所を開設し、東京、名古屋、大阪の各事業所を結ぶ定期幹線便の運行を開始したことに加え、他社商品の物流請負も本格的にスタートした。
具体的には、同社の顧客店舗に対して宅急便などを使って購入している資材(包装資材等)等を、代替して同社が納品するというもの。
ここ最近、運送費の値上げが相次いでおり、物流費用の上昇に悩まされる企業が増えるなか、同社は自社の運搬車両の空きスペースをこうした企業に有効活用してもらうことで、収益を獲得していく戦略となっている。
売上高は配送手数料のみを計上するので、100%利益となる。
2018年5月時点では、外食企業を中心に4-5社程度が同サービスを活用しており、月間売上高で約2百万円の規模になっている。


なお、保有車両については2017年末時点で37台(前年比13台増)、物流の内製化率は20%(2016年は16%)まで上昇しており、今後も引き上げていく予定にしている。


(3) 研究開発・分析事業
研究開発・分析事業の売上高は前期比2.7%減の155百万円、セグメント利益は同94.0%減の1百万円となった。
コンサルティング業務や分析業務の受託件数は順調に増加したものの、持株会社からの研究委託費が減少したこと、並びに休眠会社であったメディカル青果物研究所を再度立ち上げるなど、組織再編に伴う費用増が発生したことが減益要因となった。
外部顧客に対する売上高は前期比20.7%増の96百万円となっている(グループ内売上は前期比26.1%減の58百万円)。



事業拠点の開設を積極推進していくため、有利子負債は当面高水準が続く見通し
3. 財務状況と経営指標
2018年3月期末の財務状況を見ると、総資産は前期末比1,225百万円増加の19,288百万円となった。
主な変動要因を見ると、流動資産では現預金が681百万円減少した一方で、売掛金が1,172百万円増加した。
また、固定資産では有形固定資産が281百万円増加したほか、投資有価証券が303百万円、投資不動産が119百万円それぞれ増加した。


負債は前期末比782百万円増加の11,748百万円となった。
有利子負債が496百万円減少した一方で、未払金が352百万円、買掛金が291百万円、未払法人税等が131百万円増加した。
また、純資産は前期末比443百万円増加の7,539百万円となった。
配当金の支払い110百万円、親会社株主に帰属する当期純利益475百万円の計上のほか、その他投資有価証券評価差額金が165百万円増加した。


経営指標を見ると、自己資本比率が前期末比0.2ポイント低下の39.1%となったが有利子負債比率は同12.8ポイント低下の92.8%となった。
事業拡大のため物流センターの拠点拡充を進めており、当面は資金需要が旺盛なため有利子負債比率も高水準が続く見込みとなっている。
現状は超低金利が続いているため問題はないが、金利上昇局面では業績にマイナスの影響が出るリスクがある。
一方、収益性についてはROE、売上高営業利益率ともに前期比で上昇に転じた。
付加価値の高いカット野菜の販売が好調に推移していること主因となっている。
とは言え、ここ数年で見ればまだ低い水準であることに変わりなく、今後も収益性向上に取り組んでいく方針となっている。


(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

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