9月15日投開票の民進党代表選まで1カ月を切りました。
本命候補の蓮舫氏が代表に就任した場合には、安倍晋三首相とは性別から世代、生い立ち、言葉の選び方に至るまで、すべてが対照的な野党第1党の新しい顔となるので、与党との「違い」は否応なく意識されるでしょう。
加えて、与党とは視点の異なる経済政策を打ち出すことができれば、他党との協調にも道が開け、日本の政治を突き崩す原動力になるのではないでしょうか。
民進党は、前身の民主党が2012年12月の総選挙で野党に転落後、海江田万里氏と岡田克也氏が代表として再建を進めてきました。
しかし、この3年半あまりを振り返ると、党名変更をはじめとするもたつきが災いし、自公政権に痛手を負わせるどころか、むしろ勢いづかせています。
支持率低迷の最大の原因は、与党との明確な「違い」を打ち出せないことです。
かつての英国の例を引き合いに出すと、与党・保守党に対抗するべく野党・労働党は党首に当時41歳だったブレア氏を選出。
長期政権でよどんだ政界に新風を巻き起こし、その後政権を奪還した経緯があります。
民主党は1998年4月の結党以来、与党への対案を掲げることを旨としてきました。
2003年に自前で作成した政府予算の対案は、その年の秋に行われた総選挙でお目見えした「マニフェスト」のベースになりました。
選挙公約という対案を示すことで、有権者に政権選択を迫るようになったのです。
当時の小泉純一郎首相は国会答弁で「公約を守らないことなんて大したことではない」とうそぶいていましたが、自公両党も民主党にならってマニフェストを準備し、日本はようやく先進国らしい選挙になりました。
蓮舫氏が今月8日に記者会見で打ち出した「対案主義」は、民主党時代の原点回帰といえるでしょう。
筆者が特に望みたいのは、財政再建を柱とする経済政策です。
基礎的財政収支(プライマリーバランス)の黒字化目標は、小泉政権時代は2010年代初頭だったはずなのに、達成されないままいつの間にか2020年に先送りされています。
思惑通り2020年に黒字化できたとしても、それは公的債務1200兆円の削減のスタート地点にすぎません。
ゴールは何光年も先の気が遠くなるような話です。
安倍政権は成長を先行させ財政を立て直す方針のようですが、途上国ならまだしも日本のように成熟した国の緩やかな経済成長ペースでは、この莫大な債務の削減はほとんど不可能です。
財政再建といっても消費税引き上げではなく、民主党政権下で進められた事業仕分けが基本です。
2009年11月の仕分けでは効果が1.7兆円と報じられました。
消費税1%分が2兆円とされることを考えれば、目標は大幅に下回ったものの、画期的な試みだったと今でも思います。
仕分けの結果「廃止」とされた事業がその後事業名を変えて復活するなどの抜け道をつぶしていけば、さらに効果はあがるはずです。
この事業仕分けを柱とした財政再建を新生民進党の看板政策に掲げることによって、停滞が指摘される「アベノミクス」との違いを明確にできるでしょう。
それによって、他党との協調に化学反応をもたらす可能性もあります。
今回の参院選では共産党などとの共闘が話題を呼びました。
ただ、一人区では成果がみられたものの、野党として勢力を拡大するほど支持を得るまでには至りませんでした。
民進党単独での政権奪還は難しいため他党との連携は不可欠ですが、財政再建はそのための1つの軸になると思われます。
事業仕分けを政策として最初に取り上げた公明党を切り崩す選択肢もあるのではないでしょうか。
「蓮舫代表」には野党ならではのダイナミズムを大いに発揮することを期待します。
(吉池 威)
本命候補の蓮舫氏が代表に就任した場合には、安倍晋三首相とは性別から世代、生い立ち、言葉の選び方に至るまで、すべてが対照的な野党第1党の新しい顔となるので、与党との「違い」は否応なく意識されるでしょう。
加えて、与党とは視点の異なる経済政策を打ち出すことができれば、他党との協調にも道が開け、日本の政治を突き崩す原動力になるのではないでしょうか。
民進党は、前身の民主党が2012年12月の総選挙で野党に転落後、海江田万里氏と岡田克也氏が代表として再建を進めてきました。
しかし、この3年半あまりを振り返ると、党名変更をはじめとするもたつきが災いし、自公政権に痛手を負わせるどころか、むしろ勢いづかせています。
支持率低迷の最大の原因は、与党との明確な「違い」を打ち出せないことです。
かつての英国の例を引き合いに出すと、与党・保守党に対抗するべく野党・労働党は党首に当時41歳だったブレア氏を選出。
長期政権でよどんだ政界に新風を巻き起こし、その後政権を奪還した経緯があります。
民主党は1998年4月の結党以来、与党への対案を掲げることを旨としてきました。
2003年に自前で作成した政府予算の対案は、その年の秋に行われた総選挙でお目見えした「マニフェスト」のベースになりました。
選挙公約という対案を示すことで、有権者に政権選択を迫るようになったのです。
当時の小泉純一郎首相は国会答弁で「公約を守らないことなんて大したことではない」とうそぶいていましたが、自公両党も民主党にならってマニフェストを準備し、日本はようやく先進国らしい選挙になりました。
蓮舫氏が今月8日に記者会見で打ち出した「対案主義」は、民主党時代の原点回帰といえるでしょう。
筆者が特に望みたいのは、財政再建を柱とする経済政策です。
基礎的財政収支(プライマリーバランス)の黒字化目標は、小泉政権時代は2010年代初頭だったはずなのに、達成されないままいつの間にか2020年に先送りされています。
思惑通り2020年に黒字化できたとしても、それは公的債務1200兆円の削減のスタート地点にすぎません。
ゴールは何光年も先の気が遠くなるような話です。
安倍政権は成長を先行させ財政を立て直す方針のようですが、途上国ならまだしも日本のように成熟した国の緩やかな経済成長ペースでは、この莫大な債務の削減はほとんど不可能です。
財政再建といっても消費税引き上げではなく、民主党政権下で進められた事業仕分けが基本です。
2009年11月の仕分けでは効果が1.7兆円と報じられました。
消費税1%分が2兆円とされることを考えれば、目標は大幅に下回ったものの、画期的な試みだったと今でも思います。
仕分けの結果「廃止」とされた事業がその後事業名を変えて復活するなどの抜け道をつぶしていけば、さらに効果はあがるはずです。
この事業仕分けを柱とした財政再建を新生民進党の看板政策に掲げることによって、停滞が指摘される「アベノミクス」との違いを明確にできるでしょう。
それによって、他党との協調に化学反応をもたらす可能性もあります。
今回の参院選では共産党などとの共闘が話題を呼びました。
ただ、一人区では成果がみられたものの、野党として勢力を拡大するほど支持を得るまでには至りませんでした。
民進党単独での政権奪還は難しいため他党との連携は不可欠ですが、財政再建はそのための1つの軸になると思われます。
事業仕分けを政策として最初に取り上げた公明党を切り崩す選択肢もあるのではないでしょうか。
「蓮舫代表」には野党ならではのダイナミズムを大いに発揮することを期待します。
(吉池 威)