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カドカワ Research Memo(8):2017年10月リリース予定の新規Webサービスに注目

発行済 2017-06-14 15:38
更新済 2017-06-14 16:34
カドカワ Research Memo(8):2017年10月リリース予定の新規Webサービスに注目
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■今後の見通し

1. 2018年3月期の業績見通し
カドカワ (T:9468)の2018年3月期の連結業績は、売上高が前期比3.1%増の212,000百万円、営業利益が同31.1%減の5,800百万円、経常利益が同16.3%減の6,200百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同39.3%減の3,500百万円と増収減益となる見通し。
「君の名は。
」のヒットによる利益増効果が剥落するほか、モバイル事業の低迷により、既存事業で前期比900百万円の減益を見込み、加えて将来の成長に向けた戦略投資費用の増加で1,700百万円の減益を見込んでいる。
投資費用の主な増加要因は、2020年春に稼働予定の書籍製造・物流拠点の立ち上げに関連したテスト生産や物流拠点の最適化等の先行投資費用や、新規Webサービスの開発費用、インバウンド事業への投資などが挙げられる。
戦略投資費用によるP/L影響額は2017年3月期に4,600百万円、2018年3月期は6,300百万円となっている。
なお、書籍や映像、ゲームなどで前期同様、想定を上回る大ヒット作品が登場すれば、業績の上振れ要因となる。


2. 事業セグメント別見通し
(1) Webサービス事業
Webサービス事業の売上高は前期比2.3%増の32,000百万円、営業利益は同43.2%減の1,600百万円を見込んでいる。
今期の業績については2017年10月にリリース予定のスマートフォン向け新サービスを含むniconicoの新バージョンniconico(く)の反響次第と言える。
同社ではサービス内容の詳細について明らかにしていないが、「世界中のストリーミングサービスの中でも例を見ない最先端機能を複数搭載する予定」であるとしており、同サービスの投入によって前期からやや頭打ちとなっているプレミアム会員を再度拡大していくほか、ARPUを引き上げる施策も盛り込んでいく考えだ。
料金体系はサブスクリプションモデル(月額固定課金サービス)や都度課金など、複数のプランを用意するものと思われる。
また、niconicoではスマートフォンへの対応が遅れていたことも伸び悩んでいた要因だったと考えられるが、スマートフォン向け新サービスの投入により、スマートフォンユーザー向けに魅力的なサービスや機能を打ち出せるかどうかもポイントとなる。


ポータル事業については新サービスの投入によって、下期以降有料会員数が増加し、通期では増収を見込むが開発費の増加により利益面では減益が続くと見ている。
ライブ事業については引き続きイベント開催を積極的に進めていくが、前期同様、売上高は若干の減収、利益は赤字が続く見通しとなっている。
また、モバイル事業については音楽配信サービスの会員数減少に伴い減収減益となる見通しで、今期も事業セグメント利益の減益分の過半を占めることになる。


(2) 出版事業
出版事業の売上高は前期比1.2%増の114,400百万円、営業利益は同26.9%減の6,100百万円となる見通し。
売上については、引き続き電子書籍・電子雑誌を含め書籍の伸びを見込んでいる。
利益面では「君の名は。
」関連書籍ヒットのプラスの影響がなくなるほか、書籍・製造物流拠点立ち上げのためのテスト生産、電子書籍配信プラットフォームである「BOOK☆WALKER」や「カクヨム」のプラットフォームへのシステム投資、育成中事業である「生テレ」や「マガジンウォーカー」など戦略投資の費用増加が減益要因となる。


(3) 映像・ゲーム事業
映像・ゲーム事業の売上高は前期比4.7%増の46,500百万円、営業利益は同11.7%増の3,700百万円となる見通し。
映像事業については、「君の名は。
」の収益分配金がなくなることで減益となるものの、海外向けに人気アニメや映画等のライセンス販売を強化していく方針となっている。
ゲーム事業は前期の反動からの増収増益を見込んでいる。


(4) その他事業
その他事業の売上高は前期比10.3%増の22,300百万円、営業損失は1,200百万円(前期は1,635百万円の損失)を見込んでいる。
売上高は自社で保有するコンテンツを活かしたキャラクター商品の開発販売を強化していくほか、教育事業でも安定した収益を見込んでいる。
2016年4月に開校した「N高等学校」(学校法人角川ドワンゴ学園)は、2017年4月時点で全生徒数が3,782名(新入生2,002名)となっている。
同学校にはオリジナル学習アプリ「N予備校」を提供しており、生徒数の増加に伴ってシステム利用料の増加が見込まれる。
また、バンタンについても一定の利益を確保している。
利益面では、物販の増収効果から損失額が縮小する見込みとなっている。


(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

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