■事業概要
4. 事業戦略の方向性
(1) 教育サービス事業
学研ホールディングス (T:9470)は、学研教室や進学塾の積極拡大策と戦略商品の開発により、盤石の収益体質を構築する方針である。
一般に塾は少子化の中で競争が激化しつつあると言われるが、特に苦戦しているのはスケールメリットを出しづらい中小零細の塾に多い。
同社にとってはむしろ、全国をカバーするネットワークと豊富なノウハウが有利に働き、スケールメリットによるコストダウンや品質向上が期待できる。
このため学研教室では、法人契約教室の積極展開による教室数や会員数の拡大、顧客視点での多様な教育サービスの提供を図っている。
進学塾では、AIが個々の生徒に最適な教材を提供する「アダプティブラーニング」を取り入れたG-PAPILSによる経営力強化を進めている。
(2) 教育コンテンツ事業
同社のドメインの中で最も厳しい環境にあった出版においても、学習参考書や児童書などの教育分野への絞り込みにより業績は改善している。
さらに出版からコンテンツ事業への業態転換を進め、電子書籍のほかにタブレットや動画でのコンテンツサービスの学研ゼミ・学研プライムゼミなども開発し、中長期的に安定収益を確保する方針である。
2020年教育改革というチャンスに対して、同社は、2015年3月に買収した(株)文理のノウハウを交え、新指導要領を見据えた学習参考書の開発や塾向けテストの提供など新たな教育サービスの強化も検討している。
(3) 教育ソリューション事業
商品競争力と提案力の強化により顧客満足度を高めて差別化を図り、収益性を向上させる方針である。
幼稚園・保育園は政府の待機児童対策により追い風である。
このため同社は、教師用書籍の製作・販売などノウハウを生かした商品開発や知育教室の普及拡大を目指す。
また、小中学校の保健体育教科書でトップシェアのノウハウを生かし、道徳教科書にも挑戦している。
(4) 医療福祉サービス事業
施設の拡大やサービスの拡充によって事業拡大を図るとともに、学研版地域包括ケアシステムの実現を目指す。
福祉においては、2025年問題が強い追い風となりそうである。
2025年問題とは、2025年にベビーブーマーが後期高齢者(75歳以上)に到達し、高齢者の人口が3,600万人となり、うち後期高齢者の人口は2,100万人を超え、世帯数が1,840万世帯、なかでも1人暮らしが700万世帯に達すると予測される超高齢化社会のことである。
こうした時代には、認知症など要介護者が増加する一方、健康寿命への関心の高まりから普通に生活できる高齢健常者の1~2人世帯もかなりの数に上ると見られる。
一方で、費用の圧縮が行政の大きな目標となっているため、市場成長と収益性のバランスが大きな課題となっている。
こうした課題の解決策の1つが、サ高住である。
そのほか、保育における保育士不足などの課題に対しては保育士養成校を開設し人材の確保を加速させ、幼児教育無償化を追い風にして保育の質の向上のための保育士eラーニング開発を進め、医療における専門職の生涯教育といった課題に対しては看護師向けe-ラーニングコンテンツの開発などで応じる考えである。
同社は自治体と連携して幼稚園・保育園とサ高住を同一敷地や近隣に開設することで、子供や子育て世代、高齢者と世代を超えてつながる、学研版地域包括ケアシステムの確立を進めている。
そして、従来の多世代交流による付加価値創出に加え、訪問看護、地域の訪問介護等の在宅介護事業の強化推進、配食事業や認知症予防教室等、地域の介護・医療・予防・見守り・コミュニティ形成など多様なニーズに応えるサービスを展開していく。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
4. 事業戦略の方向性
(1) 教育サービス事業
学研ホールディングス (T:9470)は、学研教室や進学塾の積極拡大策と戦略商品の開発により、盤石の収益体質を構築する方針である。
一般に塾は少子化の中で競争が激化しつつあると言われるが、特に苦戦しているのはスケールメリットを出しづらい中小零細の塾に多い。
同社にとってはむしろ、全国をカバーするネットワークと豊富なノウハウが有利に働き、スケールメリットによるコストダウンや品質向上が期待できる。
このため学研教室では、法人契約教室の積極展開による教室数や会員数の拡大、顧客視点での多様な教育サービスの提供を図っている。
進学塾では、AIが個々の生徒に最適な教材を提供する「アダプティブラーニング」を取り入れたG-PAPILSによる経営力強化を進めている。
(2) 教育コンテンツ事業
同社のドメインの中で最も厳しい環境にあった出版においても、学習参考書や児童書などの教育分野への絞り込みにより業績は改善している。
さらに出版からコンテンツ事業への業態転換を進め、電子書籍のほかにタブレットや動画でのコンテンツサービスの学研ゼミ・学研プライムゼミなども開発し、中長期的に安定収益を確保する方針である。
2020年教育改革というチャンスに対して、同社は、2015年3月に買収した(株)文理のノウハウを交え、新指導要領を見据えた学習参考書の開発や塾向けテストの提供など新たな教育サービスの強化も検討している。
(3) 教育ソリューション事業
商品競争力と提案力の強化により顧客満足度を高めて差別化を図り、収益性を向上させる方針である。
幼稚園・保育園は政府の待機児童対策により追い風である。
このため同社は、教師用書籍の製作・販売などノウハウを生かした商品開発や知育教室の普及拡大を目指す。
また、小中学校の保健体育教科書でトップシェアのノウハウを生かし、道徳教科書にも挑戦している。
(4) 医療福祉サービス事業
施設の拡大やサービスの拡充によって事業拡大を図るとともに、学研版地域包括ケアシステムの実現を目指す。
福祉においては、2025年問題が強い追い風となりそうである。
2025年問題とは、2025年にベビーブーマーが後期高齢者(75歳以上)に到達し、高齢者の人口が3,600万人となり、うち後期高齢者の人口は2,100万人を超え、世帯数が1,840万世帯、なかでも1人暮らしが700万世帯に達すると予測される超高齢化社会のことである。
こうした時代には、認知症など要介護者が増加する一方、健康寿命への関心の高まりから普通に生活できる高齢健常者の1~2人世帯もかなりの数に上ると見られる。
一方で、費用の圧縮が行政の大きな目標となっているため、市場成長と収益性のバランスが大きな課題となっている。
こうした課題の解決策の1つが、サ高住である。
そのほか、保育における保育士不足などの課題に対しては保育士養成校を開設し人材の確保を加速させ、幼児教育無償化を追い風にして保育の質の向上のための保育士eラーニング開発を進め、医療における専門職の生涯教育といった課題に対しては看護師向けe-ラーニングコンテンツの開発などで応じる考えである。
同社は自治体と連携して幼稚園・保育園とサ高住を同一敷地や近隣に開設することで、子供や子育て世代、高齢者と世代を超えてつながる、学研版地域包括ケアシステムの確立を進めている。
そして、従来の多世代交流による付加価値創出に加え、訪問看護、地域の訪問介護等の在宅介護事業の強化推進、配食事業や認知症予防教室等、地域の介護・医療・予防・見守り・コミュニティ形成など多様なニーズに応えるサービスを展開していく。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)