[日経平均株価・TOPIX(表)]日経平均;17308.33;+296.80TOPIX;1302.39;+33.93[後場の投資戦略] 日経平均は、目先は17000円台で値固めをできるかどうかを注視していきたいところだ。
昨日の日経平均は、週明けのNYダウが3000ドル近く下げるなど世界的な大幅同時株安の流れがあったにもかかわらず、反発して底堅く推移し、意外な印象を与えた。
昨日は、日銀が上場投資信託(ETF)1200億円弱の買い入れを実施した。
規模としては、これまでの1000億円程度の規模から1.2倍程度の水準だ。
TOPIXが前引け時点で前日比プラスだったにもかかわらず、こうした動きに踏み切ったことは日銀の姿勢に対してもある程度の本気度を感じることができるともいえよう。
少なくとも、ある程度は市場心理の疑念払拭に寄与したとみられる。
また、昨日の想定外の日本株式市場の底堅さを受けて、市場では、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)や年金基金などの長期筋の買い入れもあったのではないかとの指摘もあった。
実際、こうした長期筋はROE(自己資本利益率)などの利益指標やガバナンスといった項目を投資対象の選定基準に利用しているところが多いが、昨日は、こうした各種指標に基づいて構成されたJPX日経400の上昇が相対的に他の指数よりも強かった。
個別では、トヨタが7%と異例の上昇率を見せていた。
本日もトヨタやソニーなどの主力どころの銘柄が日経平均およびTOPIXなどの指数よりもかなり強い動きをしている。
こうした所からも、年金基金などの長期筋のほかアクティブ系ファンドの買いの動きが示唆される。
ただ、まだ底打ちとは言い切れず、油断のできない状況が続くだろう。
米国では、ボーイングといった航空企業をはじめ、CDS(クレジット・デフォルト・スワップ)レートが急上昇している企業が多くなってきており、企業の資金繰りに対する不安が高まっている。
足元の下支え政策の発表があったとはいえ、まだ相当に高い水準にある。
また、ハイイールド債の発行体に多い石油系企業の懸念材料である原油価格については、OPEC(石油輸出国機構)とロシアなどの非OPEC加盟国との間での協調減産協議の破綻以降、低迷が続いており、足元ではWTIが1バレル=27ドル台と30ドルを大きく割り込む水準まで下がってきている。
こうした背景から、引き続き新型コロナウイルスをはじめ、各種企業動向など様々なニュースフローへの目配りが欠かせない展開が続くといえよう。
目先の注目材料として、やはり財政政策とみる。
各国の追加金融緩和政策の発表直後は、世界景気減速の歯止め材料としては不十分との捉えた方が優勢だった。
それが、昨日の米政権による1兆ドル規模の財政政策の発表もあって、一旦は足元の株価は反発してきている。
ただ、NYダウなどは日々の大幅なアップダウンを繰り返すなか、水準としては徐々に切り下げてきている。
米国の方では、更なる追加財政政策へ向けた動きを示唆しているが、こうした動きが世界協調的に起こってくるかが肝心なポイントであろう。
日本市場にとっては、やはり日本の財政政策に注目したい。
現状では、国民一人あたりに5万円を支給する定額給付の案が濃厚のようだが、方々の専門家から消費減税・一時撤廃などの強硬策の実施も必要という声もある。
消費減税は政治的な絡みから、なかなか難しいとはいえ、新型コロナ問題の前から景気減速の兆しがあった日本では、せめて規模の面だけでも、思い切ったサプライズ感のある財政政策を期待したいところだ。
目先は、引き続き値幅の荒い展開に備えておく必要があるだろうが、先んじて感染者数のピークアウトが観測されている中国市場の回復などを見越した戦略も有効といえるだろう。
実際、ヤクルト (T:2267)など中国市場での売上比率の高い銘柄の中には、早い段階から株価が反発局面入りしている銘柄もある。
視点を変えれば、こうした相場だからこそ、逆に銘柄の仕込み時ともいえるのかもしれない。
投資家には引き続き慎重な姿勢を求めつつ、厳選した個別株投資に徹してもらいたいところだ。
(仲村幸浩)