[12日 ロイター] - 米労働省が12日発表した4月の消費者物価指数(CPI、季節調整済み)は前月比0.8%下落と、2008年12月の金融危機後のグレート・リセッション(大不況)以来の大幅な落ち込みとなった。新型コロナウイルスの危機による外出自粛でガソリンや空の旅などのサービスの需要が減り、価格を押し下げた。市場予想も0.8%下落だった。
3月の0.4%下落に続き、2カ月連続で下落した。前年同月比では0.3%上昇した。市場予想は0.4%上昇。
MUFGのチーフエコノミスト、クリス・ラプキー氏は「消費者が自宅にとどまり支出を先延ばしにする中、消費者物価は奈落の底に落ち込み、経済の崩壊は危険な方向に舵を切った」と述べた。
ガソリン価格は20.6%急落し、08年11月以来の大幅な値下がりとなった。
一方、食品価格は1.5%上昇し、1990年1月以来の大幅な伸びを記録した。とりわけ、家庭用食品の価格は2.6%上昇と、74年2月以来の大幅な値上がりだった。
労働省によると、COVID─19(新型コロナウイルス感染症)に感染する危険があるため、対面による調査を3月16日以降停止している。また4月は「一部の機関が一時的に閉鎖もしくは稼働を縮小したことから、一時的に集計ができず補完データで算出したものが増えた」という。多くの指数は通常より標本数が少ないほか、通常公表される指標のいくつかは4月に公表されなかった。
変動の大きい食品とエネルギーを除いたコア指数は前月比0.4%下落し、統計を開始した1957年以降で最大の落ち込みを記録した。3月は0.1%下落し、10年1月以来初めてマイナスへ転じていた。
コア指数は前年同月比で1.4%上昇と、11年4月以来の小幅な伸びにとどまった。3月は2.1%上昇していた。
FRBは物価上昇率の目標を2%としている。FRBが物価の目安としているコア個人消費支出(PCE)価格指数は3月に前年同月比1.7%上昇した。2月は1.8%上昇だった。4月のPCEは今月下旬に発表される。
また、品目別ではホテルなどの宿泊料金が8.1%下落、航空運賃が15.2%下落、衣料品が4.7%下落と、いずれも過去最大の落ち込みとなった。
FHNフィナンシャルのチーフエコノミスト、クリス・ロー氏は「ロックダウン(都市封鎖)措置はデフレ効果を伴う」とし、「経済活動の再開は段階的となり、インフレ低迷が当面続く可能性を示唆する妨げも台頭するだろう」と述べた。
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