[ワシントン 5日 ロイター] - 米労働省が5日発表した第3・四半期の非農業部門労働生産性(速報値)は、季節調整済みの年率で前期比4.9%上昇した。単位労働コストが低下し、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)による景気低迷から米経済が持ち直す中で賃金上昇の抑制を示唆した。市場予想は5.6%上昇だった。
第2・四半期の労働生産性は当初発表の10.1%上昇から10.6%上昇へ改定された。1971年第1・四半期以来の高い伸びだった。
先週発表された第3・四半期国内総生産(GDP)は年率で前期比33.1%増と歴史的な伸びとなり、生産性が上昇したことを示唆していた。第3・四半期は政府が企業や労働者を対象に3兆ドルを超える支援策を導入したことが景気を押し上げた。第2・四半期GDPは31.4%減と、過去最大の落ち込みだった。
GDPと労働市場の勢いの違いは、好調な生産性が理由とみられる。
米経済は、新型コロナのパンデミックによって失った生産高の3分の2を取り戻した一方、喪失した2220万件の雇用のうち回復できたのは半分超にとどまる。雇用回復が2007─09年の世界金融危機時よりずっと長くかかることを示唆する。
第3・四半期の労働生産性の前年同期比は4.1%上昇だった。
労働時間は36.8%増。第2・四半期は42.9%減少していた。
生産単位当たりの報酬を示す単位労働コストは8.9%低下。第2・四半期は8.5%上昇していた。第3・四半期の前年同期比は2.5%上昇した。