[ワシントン 2日 ロイター] - 米労働省が2日発表した3月の雇用統計は、非農業部門雇用者数が前月比91万6000人増と、市場予想の64万7000人増を上回った。
新型コロナウイルスのワクチン接種拡大や政府の追加支援策を追い風に、雇用者数は昨年8月以来の大幅な増加となり、米雇用市場がようやく復調の軌道に乗った兆候を示した。
しかし、依然として400万人超が半年以上の長期失業状態にあり、雇用者数がコロナ禍前の昨年2月の水準を840万人下回る中、米雇用市場の本格回復に向けた道のりは長いことが想定される。
3月は全ての業種で雇用者数が増加したほか、労働参加率も上昇した。失業率は6.0%と、2月の6.2%から低下。しかし、コロナ禍に伴う「雇用されているが休職中」の人の扱いが引き続きデータのゆがみとなっている。こうした影響を除くと失業率は6.4%だった。
雇用の伸びを主導したのはレジャー・接客業で、28万人増加した。レストランやバーなどの飲食業が増加分の3分の2を占めた。
建設は11万人増と、寒波の影響による2月の落ち込みから持ち直した。製造業も5万3000人増加した。
また、約34万7000人が労働市場に復帰。これに伴い、労働参加率は61.5%と、前月の61.4%から上昇。人口に対する雇用の比率も57.8%と、57.6%から上昇した。
時間当たり賃金は前月比0.1%減、前年同月比4.2%増だった。
2月の雇用者数は当初発表の37万9000人増から46万8000人増へ上方改定された。
アリアンツ・インベストメント・マネジメント、シニア投資ストラテジスト、チャーリー・ライプリー氏は「労働市場は好転しつつあるが、大幅な進展を遂げ、完全に回復するのはまだ先のことだ」と述べた。
バイデン米大統領は、好調な内容となった雇用統計を称賛すると同時に、新型コロナワクチンの普及など「これまでに遂げた進展が反転する恐れがある」と気を緩めないよう釘を刺した。
さらに、自身が打ち出した大型インフラ投資計画が実現すれば、1900万人の雇用が創出されると言明した。
米雇用は第1・四半期に160万人増加した。FHNフィナンシャルのチーフエコノミスト、クリス・ロー氏は「ワクチン普及を手掛かりに新型コロナ感染者が減少し、サービス業の再開がさらに進めば、米連邦準備理事会(FRB)が年内に緩和縮小を巡る討議を始め、ガイダンスを修正する可能性がある」と述べた。
1年前の3月は、新型コロナのパンデミック(世界的大流行)による打撃が初めて統計に反映され、170万人近くが失業した。4月にはさらに2070万人が失業した。エコノミストはパンデミックで失われた2200万人を超える雇用を取り戻すには少なくとも2年かかるとみている。
エコノミストは、雇用の伸びが第2および第3・四半期に平均で少なくとも月間70万人になると見込む。景気刺激策と約19兆ドルに及ぶ家計貯蓄により、抑え込まれていた需要が力強い消費につながると予想されている。
第1・四半期の国内総生産(GDP)は最大で10%の増加となる見込み。昨年第4・四半期は4.3%増だった。2021年の伸びは7%超と1984年以降で最大となる可能性がある。