[ベネチア/東京 10日 ロイター] - 麻生太郎財務相は、20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議で国際課税の強化で合意したことについて「画期的な成果と強く歓迎している」と述べた。会合後に現地で記者団に語った。債務削減による途上国支援では中国を念頭に、債務の透明性や説明責任を高めるよう主張したことを明らかにした。
対面でのG20は2020年2月のサウジアラビア・リヤドでの会合以来、約1年5カ月ぶり。日本からは麻生財務相のほか、日銀の黒田東彦総裁が出席した。
麻生財務相は今回のG20で「世界経済やパンデミック対応、国際課税、気候変動、低所得国支援など幅広く議論した」と語った。課税強化策では、経済協力開発機構(OECD)で131カ国・地域が23年から実施する大枠で合意。法人税率の引き下げ競争に歯止めをかけるための最低税率導入や、巨大IT企業などの税逃れを防ぐデジタル課税でも一致した。G20の閣僚も足並みをそろえた形だ。
途上国の債務問題では「透明性や説明責任が重要」との認識をあらためて示した。G20に先立ち国際通貨基金(IMF)は9日、6500億ドルの特別引き出し権(SDR)の新規配分を支持しており、正式な承認を踏まえて8月末までに配分する前の対応を求めた。
同席した黒田日銀総裁は、気候変動対応に関し「グローバルな重要な問題であるとの認識のもとでリスクモニタリングを強化していくことやシナリオ分析や情報開示など金融面の対応を進めていくことが確認された」とした。
黒田総裁はG20で、気候変動対応投融資をバックファイナンスする新しい資金供給制度導入に触れ、「気候変動に対する日銀の取り組み方針を説明した」と述べた。「金融安定に向けた取り組みをさらに進めていくべき」との考えもG20で表明した。
*発言内容を追加し、再構成しました。