[シドニー 15日 ロイター] - 豪連邦統計局が15日発表した6月の雇用統計によると、失業率は5月の5.1%から4.9%に改善し、10年半ぶりの低水準を記録した。新型コロナウイルス禍からの目覚ましい景気回復ぶりが改めて示され、金融引き締めが前倒しされる可能性が出てきている。
6月の就業者数は2万9000人増加し、予想の3万人とほぼ一致した。フルタイム就業者数が5万1600人の大幅増だった。
失業率は4.9%に低下し、2010年12月以来の低水準に改善した。ロックダウン(都市封鎖)を受けて景気が悪化した昨年7月には7.5%に達していた。
キャピタル・エコノミクスのエコノミスト、マルセル・チリアント氏は「賃金の伸びが、間もなく本格的に加速し始める。豪中銀は2023年初めまでに政策を引き締めるだろう」と述べた。
一方、VanEckオーストラリアの投資担当責任者、ラッセル・チェスラー氏は「2022年の利上げの可能性が強まっているように思える」と述べた。
中銀は今月、雇用の改善を背景に、9月以降に債券買い入れ額を週50億豪ドルから40億豪ドルに減らすと表明している。
6月は第2の都市メルボルンで2週間にわたるロックダウンが導入されていたが、雇用統計は力強い内容となった。
最大都市のシドニーでは、今回の流行局面で感染者数が900人を超えた。
シドニーのロックダウンは今月30日までの予定だが、エコノミストの間では、さらに延長されるとの懸念が浮上している。ワクチン接種が完了した人は人口の10%にとどまっている。
シドニーのロックダウン解除を巡る不透明感から、豪ドルは0.7462米ドルにとどまっている。
世界的な求人サイト「インディード」のエコノミスト、Callam Pickering氏は「新型コロナ流行が引き続き豪州全体を不透明感で覆っている。本当にもしもの話だが、新たな大規模ロックダウンを避けることができた場合、労働市場は年末までに相当引き締まると予想している」と述べた。