[シンガポール 11日 ロイター] - シンガポール貿易産業省が11日発表した第2・四半期の国内総生産(GDP)改定値は前年比14.7%増となり、伸び率は速報値の14.3%から上方改定された。国内や主要市場で新型コロナウイルスワクチンの接種が進む中、通年のGDP見通しを引き上げた。
第2・四半期GDPはロイターがまとめた市場予想(14.2%増)も上回った。
ただ、絶対値ベースではコロナ危機前の2019年第2・四半期の水準を0.6%下回った。
季節調整済みの前期比では1.8%のマイナス成長となった。第1・四半期は3.3%のプラス成長だった。
貿易産業省は2021年通年のGDP伸び率見通しについて、従来の4─6%から6─7%に引き上げた。
貿易産業省のガブリエル・リム次官は「世界経済が大きく後退しない限り、シンガポール経済は主に海外向けセクターに支援され、下期も緩やかな回復が続く見込みだ」と述べた。
また、国境における規制の緩和が消費者向けセクターの回復や、移民に依存するセクターの労働力不足緩和にもつながると指摘した。
シンガポール経済は新型コロナの影響で昨年に過去最悪のリセッション(景気後退)に陥って以降、回復がまだら模様となっている。今年の成長率加速は比較対象となる前年が低かったことによるベース効果が主な要因だ。
シンガポール金融管理局(MAS、中央銀行)は前回4月の政策会合で、緩和的な金融政策の維持を決めた。次回の政策会合は10月中旬に予定されている。エコノミストは、国内のインフレが落ち着いていることや、景気回復ペースを左右する新型コロナ変異株に対するワクチンの効果がどの程度になるかを見極める必要があるため、中銀が10月に何らかの措置を講じる可能性は低いと予想している。
バークレイズのエコノミスト、ブライアン・タン氏は「中銀には対応の余地が与えられる。恐らく来年4月に引き締めに動くだろう」と述べた。
また、ホンリョン銀行のシニア債券ストラテジスト、Jeff Ng氏は、2022年には経済活動の改善が見込めるとし、年末までにシンガポール経済は回復段階に進むと語った。