[北京 11日 ロイター] - 中国人民銀行(中央銀行)が11日発表した7月の新規人民元建て融資は予想以上に減少し、過去9カ月で最低となった。
7月末の社会融資総量残高の伸びも、過去17カ月で最低となった。景気の回復を下支えするため、小幅な金融緩和が必要になるのではないかとの市場の見方を裏付ける内容となった。
新型コロナウイルスのデルタ型変異株や洪水などのリスクが中国の景気回復を遅らせる恐れがある中、政策関係者やアナリストは同国がインフラ支出を加速させつつ、人民銀行が小幅な緩和措置で支援すると予想している。
7月の新規人民元建て融資は1兆0800億元(1665億ドル)と、市場予想の1兆2000億元、前月の2兆1200億元を下回った。これは2020年10月以来の低水準。前年同期は9927億元だった。
国内銀行は2021年上期に総額12兆7600億元の巨額の新規融資を実施。人民銀行は、デフォルト(債務不履行)が増える中、債務リスクを抑制するため、与信量全体を抑えようとしていた。
ただその後、人民銀行は7月に銀行の預金準備率を引き下げており、アナリストは年内に追加の引き下げがあると予想している。
キャピタル・エコノミクスは顧客向けリポートで「与信全体の伸びは6月に落ち着いたが、7月に下降が再開した。昨年2月以来の低水準となっている」と指摘。「追加の預金準備率引き下げと政策金利の引き下げにもかかわらず、今後数カ月は鈍化が続き、それに伴い景気への逆風も続くだろう」と述べた。
7月末時点の社会融資総量残高は前年比10.7%増の302兆4900億元(46兆6000億ドル)だった。伸び率は2020年2月以降で最低。
7月の社会融資総量は1兆0600億元と、前月の3兆6700億元から減少した。ロイターがまとめた市場予想は1兆7000億元だった。
社会融資総量には、通常の銀行融資以外の新規株式公開、信託会社の融資、債券発行などが含まれる。
招商証券のアナリストは、中銀が一段の流動性を供給し、地方政府の債券発行や建設促進の一助となるため、社会融資の伸びは8月に底打ちすると予想。「年内に預金準備率を1-2回引き下げるかもしれないが、最優遇貸出金利(ローンプライムレート)引き下げの可能性は小さい」と述べた。
ノムラのアナリストは予想を下回った社会融資について、政府の資金調達が依然振るわないことが主因と指摘した。
マネーサプライM2の前年比伸び率は8.3%と、市場予想の8.7%を下回った。前月は8.6%だった。
7月末時点の人民元建て融資残高は前年比12.3%増と、予想と一致。前月も12.3%増だった。