[ワシントン 8日 ロイター] - 米商務省が8日発表した1月の貿易収支は、輸入の増加に伴い赤字が前月比9.4%増の897億ドルに拡大し、過去最大となった。
市場予想は871億ドルだった。昨年12月の赤字は820億ドルで、当初の807億ドルから修正された。
ハイ・フリークエンシー・エコノミクスの米国担当チーフエコノミスト、ルビーラ・ファルーキ氏は「輸入に対する需要が依然として旺盛なため、赤字は当面高止まりの状態が続くのではないか」と述べた。
貿易は6四半期連続で米国内総生産(GDP)の下押し要因となっている。第1・四半期の成長率は年率換算で2.0%を下回るとの見方が大勢だ。昨年第4・四半期の成長率は7.0%だった。
1月の輸入は1.2%増の3141億ドルと、過去最高を記録。モノの輸入も1.8%増の2648億ドルで過去最高となった。食料品や資本財、消費財などの輸入が記録的な水準に達する中、内需拡大への対応として企業が在庫補充を続けていることや物価の上昇といった要因が輸入の増加につながっている。
こうしたなか、ロシアのウクライナ侵攻を受け、米国はロシアへの制裁を強めているが、貿易への影響は限定的とみられる。政府の統計によると、昨年の輸入に占めるロシアの割合は1%、輸出は約0.4%にとどまっている。
キャピタル・エコノミクスのシニアエコノミスト、マイケル・ピアス氏は、「制裁によって今後数カ月間、米ロ間の貿易はほぼ途絶えるが、その額は全体のわずかに過ぎず、貿易総額にはほとんど影響を与えないだろう」と指摘した。
1月の輸出は1.7%減の2244億ドル。財の輸出は1.5%減の1559億ドルだった。