[東京 29日 ロイター] - 日野自動車は29日、2022年3月期(今期)の連結純損益が540億円の赤字に転落する見通しと発表した。従来見込んでいた150億円の黒字から下方修正した。エンジンでの試験データ不正行為に関連して、合計680億円の特別損失を計上する。前期(約74億円の赤字)に続く最終赤字となり、期末配当予想は変更の有無を現在検討中という。
特別損失については、不正行為のあったエンジン搭載車両のリコール(無償回収・修理)費用や税制優遇追加納付費用として約400億円を計上する。北米市場向けエンジンの認証課題に起因して販売店や部品仕入れ先、顧客との合意に基づく補償損失を160億円見込んでいたが、当初見込みを120億円上回ることが判明し、特別損失として約280億円も計上する見込み。
今期の売上高も1兆4200億円(従来は1兆4600億円)に、営業利益も320億円(同540億円)にそれぞれ引き下げた。エンジン認証不正行為に起因する出荷停止などで営業損益が悪化する。
9月15日にリコールを届け出た大型トラックの部品不具合で、修理内容変更に伴い、追加発生費用約180億円を営業費用(製品保証引当金繰入額)として計上することも織り込んだ。
国土交通省は29日、道路運送車両法に基づき、不正が確認された対象エンジン4種類に関する型式指定を取り消す行政処分を科した。事実上、対象エンジンを搭載した車両の生産はできなくなる。