[ムンバイ 8日 ロイター] - インド準備銀行(中央銀行)は8日、政策金利のレポレートを過去最低の4%に据え置いた。据え置き決定は全会一致で、市場の予想通り。金融政策スタンスを「緩和的」で維持することも決まった。
リバースレポレートも3.35%に据え置いた。
しかしロシアによるウクライナ侵攻を受けて商品価格が上昇する中、インフレ対策に重点を置く姿勢を示した。
中銀のダス総裁は世界的なリスクの高まりを踏まえて、金融政策の正常化は段階的に行う考えを示した。
「欧州の紛争で、複数の逆風に見舞われた世界経済が軌道を外れる可能性がある。われわれは慎重なアプローチを取る必要があるが、インドの成長とインフレに対する悪影響を緩和するため、先を見据えて行動しなければならない」と述べた。
流動性調整ファシリティ(LAF)のコリドーの幅は50ベーシスポイント(bp)に戻すと表明。超金融緩和政策からの脱却に向けた一歩とみられている。
中銀によると、コリドーの下限は常設預金ファシリティー金利で3.75%。上限は限界常設ファシリティー金利で4.25%。レポレートはこのコリドー内に収まることになる。
HDFC銀行のシニアエコノミストは「中銀のタカ派姿勢への転換は正当化できる。中銀は今後の政策決定会合でスタンスを中立にし、その後、予想より早くレポレートを引き上げる可能性が高い」と述べた。
3月29日―4月5日に実施したロイター調査では、回答した50人のうち44人がレポレートの据え置きを予想していた。32人は6月末まで現状維持が続くと見込んだ。
<成長よりインフレを重視>
中銀は不確実性の高まりを反映して、今年度のインフレ予測を5.7%に引き上げた。昨年度は4.5%だった。成長率予想は7.8%から7.2%へ引き下げた。
総裁は「われわれは成長よりもインフレを優先している。優先順位はまずインフレ、次が成長だ」と説明した。インフレ対策を主眼に置くのは3年ぶりと指摘した。
今年から複数年にわたって、段階的に流動性を吸収すると発言。経済活動は新型コロナウイルス流行前の水準を下回っているが、着実な回復が続いていると述べた。
今年のインフレ率は、中銀の目標上限である6%を上回っており、低金利を維持する戦略には疑問の声も出ていた。
総裁は、金融政策スタンスは引き続き緩和的だが、緩和策の解除に照準を合わせていると語った。
また銀行の満期保有証券の上限が2023年3月まで現行の22%から23%へ引き上げられたと述べた。
トレーダーは、過去最大の14兆3100億ドルに上る政府の債券発行を吸収するために、債券市場を支援するための措置が打ち出されるか注視している。
エララ・キャピタルのエコノミスト、ガリマ・カプール氏は「中銀は政府の借り入れ計画を表立って支援することができないため、満期保有証券の上限を100ベーシスポイント(bp)引き上げた。インフレ予想が急上昇しているが、債券市場は落ち着くだろう」との見方を示した。
*総裁の発言などを追加して再送します。