[東京 6日 ロイター] - 総務省によると、4月の東京都区部消費者物価指数(生鮮食品を除く、コアCPI)は前年同月比1.9%上昇し、前月の同0.8%上昇から大幅にプラス幅が拡大、2015年3月以来の水準となった。前年の携帯電話料金値下げの反動に加え食品価格の上昇が押し上げた。
ロイターがまとめた民間予測では同プラス1.8%だった。物価のより基調的な動きを示すとされる除く生鮮・エネルギー(コアコアCPI)も前年比0.8%上昇と、13カ月ぶりにプラス転換し、2020年1月以来の水準となった。生鮮食品などを含む総合指数は前年比2.5%上昇し、2014年10月以来の水準となった。
<寿司・ハンバーガー・食パン値上げが指数押し上げ>
コアCPIの前年比プラス幅拡大にもっとも寄与したのは携帯料金値下げの剥落で、約0.8ポイント押し上げた。このほか生鮮食品を除く食料も0.17ポイント押し上げた。持ち帰り用寿司が前年比12.1%、ハンバーガーが同6.7%、食パンが同8.4%上昇した。家庭用耐久財も0.08ポイントの上昇要因。冷蔵庫が前年比21.6%上昇した。
一方、エネルギーは前月比で0.03ポイント押し下げ要因だった。ガソリンの前年比が3月の17.7%上昇から4月は14.3%に縮小したのが要因。政府によるガソリン高抑制のための補助金制度などが作用したと総務省ではみている。
このほか生鮮食品では前年比で、タマネギが88.7%、マグロが25.2%、イチゴが14.1%上昇した。
<実質賃金マイナスなら消費抑えられる可能性─野村・木内氏>
4月の都区部CPIを受け、民間エコノミストの間では「電気代やガス代の動向次第では全国の4月コアCPIもが2%に乗せる可能性もある」(農林中金総合研究所の南武志・主席研究員)と見られている。
物価上昇の影響については、「コアコアCPIも0.8%まで上昇しており、春闘のベアが0.3%の上昇にとどまるなか、実質賃金が恒常的にマイナスとなり、その懸念から消費が抑えられ経済の実力も悪化する可能性」(野村総合研究所の木内登英・エグゼクティブ・エコノミスト)を懸念する声がある。
一方、「コアコアCPIは0.8%にとどまっており、(政府・日銀が掲げる)物価目標2%には程遠い。需給ギャップもマイナスなので日銀の黒田東彦総裁が緩和を続けるのは自然」(みずほ証券エクイティ調査部の小林俊介・チーフエコノミスト)との見方もある。