[北京 17日 ロイター] - 中国国家統計局が17日発表した2022年第4・四半期の国内総生産(GDP)伸び率は前年比2.9%と、市場予想の1.8%を上回った。ただ、厳格な新型コロナウイルス規制が響き、前期の3.9%から減速した。
22年通年のGDP伸び率は3.0%で、政府目標の5.5%前後を大幅に下回った。21年は8.4%だった。コロナ禍当初の20年に記録した2.2%の伸び率を除けば、経済を疲弊させた文化大革命が終了した1976年以降で最低となった。
22年の成長率への寄与度は最終消費が32.8%、資本形成(投資)が50.1%、純輸出が17.1%だった。
第4・四半期GDPの伸び率は前期比で0.0%となり、市場予想のマイナス0.8%を上回った。前期は3.9%のプラス成長だった。
12月の鉱工業生産や小売統計は市場予想を上回ったが、弱い数字だった。鉱工業生産は1.3%増で11月の2.2%増から鈍化。アナリスト予想は0.2%増だった。小売売上高は1.8%減で11月の5.9%に続きマイナスとなったが、アナリスト予想の8.6%減ほど悪化しなかった。
年間の固定資産投資は5.1%増で予想の5.0%増を上回った。1─11月は5.3%増だった。
オックスフォード・エコノミクスのシニアエコノミスト、ルイーズ・ルー氏は「12月の統計は総じて予想より良かったものの依然弱い。特に小売売上高など需要サイドがそうだ」と指摘し、「経済活動が再開しても、個人消費はすぐには回復しない。このため、再開後しばらくは回復は鈍いというのが当社の見立てで、一連の統計はそれを裏付けている」と述べた。
感染を抑え込むゼロコロナ政策の転換を受けて今年の景気回復に期待が高まったが、同時に感染者が急増し、これが短期的に景気の重しになる可能性が指摘されている。
ロイターが今月まとめたエコノミスト調査では、今年の成長率は4.9%に改善すると予想されている。
ムーディーズ・アナリティクスのエコノミスト、ハリー・マーフィー・クルーズ氏は「23年の中国は多くの困難が待っているだろう。新たなコロナ感染の波をうまく乗り切る必要があるだけでなく、住宅用不動産市場の悪化や中国輸出品への海外需要の低迷が著しい景気阻害要因になる」と分析した。
一連の指標発表を受けてアジアの株式市場は軒並み下落し、人民元は1週間ぶりの安値を付けた。
<不動産低迷、人口減の不安>
22年に不動産部門は成長を最も下押しした業種の一つとなった。通年の不動産投資は前年比10.0%減で、99年以降で初めて減少した。販売は24.3%減り、92年の統計開始以来最大の落ち込みを記録した。政府の業界支援策の効果は今のところ最小限にとどまっていることを示した。
さらなる懸念要因は人口の減少だ。昨年末時点の人口は14億1175万人で、前年末から約85万人減少した。減少は61年以来となる。
一方、12月の調査に基づく全国の失業率は5.5%と、11月の5.7%から改善した。
中国指導部は今年、内需支援で消費の拡大を優先課題としている。
先月開催された中央経済工作会議では、経済安定に集中し、主要目標を確実に達成するために政策調整を強化する方針を示した。
政策筋によると、今年の成長率は少なくとも5%を目指す公算。
中国人民銀行(中央銀行)は今年、政策緩和を継続し、地方政府はインフラ事業の資金調達を目的に債券発行を進めるとみられる。