[北京 13日 ロイター] - 中国税関総署が13日発表した3月の貿易統計によると、輸出は前年比14.8%増加し、5カ月連続の減少に終止符を打った。市場予想は7.0%減だった。
太陽電池製品や新エネルギー車(NEV)、リチウム電池の好調な出荷が伸びをけん引した。サプライチェーン(供給網)の状況改善が続いたことにも支援された。
統計は中国経済の健全性を懸念する投資家にとって幾分の安心材料になるものの、アナリストは他の主要国の需要が低迷する中、こうした好調は持続しないのではないかと懸念している。
上海保銀投資管理(ピンポイント・アセット・マネジメント)のチーフエコノミスト、張智威氏は「(3月輸出の)ポジティブサプライズは比較対象となる前年同月の水準が低いことによるベース効果が一因とみられる」と分析した。
また「昨年3月には新型コロナウイルス感染が拡大し、多くの工場が閉鎖を余儀なくされた」と指摘し、受注残をこなすために生産を急いだことが輸出増につながったとの見方を示した。
「世界経済の見通しが弱いことを踏まえると、輸出の力強い伸びは持続しそうにない」と語った。
輸入は前年比1.4%減で、市場予想の5.0%減よりも小幅なマイナスにとどまった。1─2月は10.2%減少していた。
大豆を中心とする農産物の輸入が拡大し、原油、鉄鉱石も増加した。銅は減少した。
貿易収支は881億9000万ドルの黒字。市場予想は392億ドルの黒字だった。
税関総署の報道官は、電気自動車、太陽電池製品、リチウム電池の強い需要が上向きのサプライズにつながったと説明した。
ただ、今後状況が悪化する可能性があると警告。「外部環境は現在も厳しく、複雑だ。外需低迷と地政学的要因は中国の貿易動向により大きな課題をもたらすだろう」と記者団に述べた。
キャピタル・エコノミクスのアナリストは「外需の見通しは依然厳しく、今回の改善が続くとは思えない。主要先進国は今年景気後退に突入するだろう。中国の輸出減少はさらに続き、年内に底に達する」と述べた。