[14日 ロイター] - 米金融大手JPモルガンは14日、中国の不動産開発大手、碧桂園の債務支払い遅延を受け、運用資産2兆8000億元(3857億8000万ドル)相当と試算する中国の不動産投資信託(REIT)のリスクが高まると警告した。
JPモルガンは不動産融資問題の「悪循環」が予想され、不動産開発会社とノンバンク債権者の流動性ストレスを強める恐れがあると指摘した。
碧桂園は11のオンショア債の取引停止が明らかになった後、満期を迎えるオンショア私募債の償還を延期するよう求めるのは初めて。
キャサリン・レイ氏が率いるJPモルガンのアナリスト・チームは投資家向けメモで「持ちこたえる力があり、債権をロールオーバーして解決を待つことができる銀行とは異なり、信託などの代替的な資金調達チャネルは信託投資家が商品をロールオーバーする意向がなくなればデフォルト(債務不履行)に陥る可能性がある」と記した。
その上で信託は発行済み商品の支払いが滞った場合、既存の投資家の救済が必要になる可能性があると警告。この場合、可能性は低いながらも、銀行が資金ギャップを埋めざるを得なくなるかもしれないとの見方を示した。
より広範な影響として、信託のデフォルトが増えた場合は中国の経済成長を直接0.3─0.4%ポイント引き下げる可能性があると警告した。
ノムラのアナリストは「中国政府はこれまでに不動産部門の緊張緩和に向けた措置を打ち出したものの、後手に回った上、規模は小さかった」とし、中国政府は一段の措置を取らざるを得なくなるとの見方を示した。
JPモルガンのアナリストは、預金準備率の引き下げや、地方政府系金融機関に対する「小規模な」救済プログラムなどが政策手段として考えられると指摘。ただ、大規模な金融緩和や財政出動が実施される公算は小さいとしている。