[ロンドン 17日 ロイター] - スイスを拠点とするヘッジファンドのEDLキャピタルは、オフショア人民元相場の一段安を予想し、人民元の下落が世界の市場を揺るがす今後の「ブラックスワン」(予期せぬ極端な事象)になりかねないとの見方を示した。今月2日に投資家向けに行われたプレゼンテーションの内容を、ロイターが確認した。
EDLキャピタルによると、元相場を圧迫している要因には、西側諸国のサプライチェーン(供給網)再構築を促している地政学的な緊張があり、その影響で対中外国投資は大幅に抑制されるとみられる。
また、ベトナムやインドなどの他のアジア諸国と比較して中国の労働市場は競争力が低下している上、ゼロコロナ政策終了後の景気回復は失速し、外貨準備が想定を下回っている可能性もあるという。
EDLキャピタルはオフショア人民元のショートポジションを保有している。同社はプレゼンテーションで、この手法を取る場合には人民元相場が下落し、ドル相場が一定水準まで上昇した際に利益を得ることを目指すオプションを利用すると説明した。実際にそのような戦略を取っているかどうかは明らかにしなかった。
同社はロイターの取材に対してコメントを控えた。