[ワシントン 18日 ロイター] - 米商務省が18日発表した9月の一戸建て住宅の着工件数(季節調整済み)は年率換算で前月比3.2%増の96万3000戸だった。中古住宅の供給が不足していることを背景に、新築住宅に対する需要が押し上げ要因となって大幅に増えた。
一方で住宅ローン金利が23年弱ぶりの高水準となっており、住宅着工の勢いは鈍る可能性がある。
8月分は93万3000戸と、当初発表の94万1000戸から下方改定された。
一戸建ては住宅建設全体の大部分を占めている。
9月の地域別の着工件数は中西部、西部、人口密集地域の南部で増加したが、北東部では19.0%減少した。
ブリーン・キャピタル(ニューヨーク)のシニアエコノミックアドバイザー、コンラッド・デクアドロス氏は「一戸建て住宅の許可件数はこれまでのところ2023年は毎月が増加しているため、非常に短期的には一戸建て住宅の建設活動が上向く可能性はあるが、ある時点で住宅ローン金利が新規住宅建設活動に歯止めをかける可能性が高い」と述べた。
米連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)のデータによると、需要が多い30年固定住宅ローンの平均金利は9月の最終週に7.31%と2000年12月以来の高水準を付けた。
住宅ローン金利は、約16年ぶりの高水準に達した10年物国債の利回りと歩調を合わせて上昇している。これは景気の回復力を反映している面もある。
23年9月の5戸以上の集合住宅の着工戸数は17.1%増の38万3000戸だった。建設会社の信用アクセスへの低下や、建設中の集合住宅が大量にあるため、さらなる増加は抑えられる可能性が高い。
全体の住宅着工件数は7.0%増の135万8000戸。ロイターがまとめた市場予想は138万戸だった。
一戸建て住宅の建設許可件数は1.8%増の96万5000戸と、2022年5月以来の高水準となった。
FWDBONDS(ニューヨーク)のチーフエコノミスト、クリストファー・ラプキー氏は「住宅建設の火が完全に消えたわけではないが、連邦準備理事会(FRB)による利上げの打撃に全米の住宅部門があとどのくらい耐えられるかは分からない」とした。
集合住宅の建設許可件数は14.0%減の45万9000戸と20年10月以来の低水準。全体の建設許可件数は4.4%減の147万3000戸となった。
建設許可を受けたものの未着工となっている物件は0.7%増の28万1000戸。
建設中の住宅在庫は0.7%減の167万6000戸。建設中の一戸建て住宅の在庫が0.7%減の67万4000戸と21年5月以来の低水準。一方、建設中の集合住宅の在庫は0.7%減の98万6000戸となお過去最高水準にある。
バークレイズ(ニューヨーク)のエコノミスト、コリン・ヨハンソン氏は「建設中の住宅在庫は過去の平均に比べて依然として極めて高い水準にあり、今後数カ月から数年以内に住宅在庫市場に出てくることを示唆している」と指摘。「この住宅在庫が市場に出れば、価格圧力の緩和につながる可能性があるが、建設中の住宅在庫が一貫して減少し始めるまではまだ分からない」とした。