Christian Kraemer
[ベルリン 27日 ロイター] - ドイツの連立与党は27日、2023年度の補正予算案を発表した。憲法裁判所が新型コロナウイルス対策予算の転用を認めない判決を下したことを受け、財政赤字を抑制する「債務ブレーキ」の一時停止を盛り込み、緊急的に予算を確保する。
議会が予算案を承認すれば、債務ブレーキの停止は4年連続となり、約450億ユーロ(490億ドル)を追加で借り入れることになる。
憲法裁判所は先週、新型コロナウイルス対策で使わなかった予算を環境保護対策や産業補助金に振り分けることを違憲だと判断した。これに伴い新たな歳出計画のほとんどが凍結された。
連立与党は、ロシアがウクライナ全面侵攻を開始した2022年以降に発生したエネルギー危機の波及効果で物価が高騰し、債務ブレーキの一時停止を正当化する緊急事態が発生したと説明。「家計消費の落ち込みでドイツ経済の下降スパイラルが引き起こされ、繁栄と雇用の大幅な縮小につながるリスクが存在している」とした。
追加借り入れは憲法裁の判決により確保できなくなった600億ユーロを完全にカバーしていない。23年度の歳出は151億ユーロ減少するが、政府はこれは全ての公約をカバーするのに十分だとしている。
野党キリスト教民主同盟(CDU)のメルツ党首は政府が24度予算についても債務ブレーキの停止を求めた場合、新たな法的措置が取られる可能性があると警告した。