Noriyuki Hirata Tomo Uetake Shinji Kitamura
[東京 14日 ロイター] - 米連邦公開市場委員会(FOMC)を経た14日の東京市場は、債券高・円高・株高のトリプル高で反応した。米国の利上げサイクルが終了し、来年に利下げに着手する可能性が示唆されたことで、米金融政策は転換点を迎えたとの受け止めも聞かれる。円高が株価には重しだが、市場の目線は上を向いている。次の関心は日銀へ移っている。
米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果とパウエル連邦準備理事会(FRB)議長会見を経た米国市場の反応は、金利低下(債券高)、ドル安(円高)、株高だった。市場の予想通り金利は据え置きだったほか、政策金利見通しの中央値は、FF金利誘導目標が現在の5.25─5.50%から0.75%ポイント低下するとの予想が示された。
「追加利上げの見通しが示されなかったのは21年3月以来で、FRBの金融政策は転換点を迎えたようだ」と、野村アセットマネジメントの石黒英之シニア・ストラテジストは指摘する。
りそなホールディングス市場企画部の石田武ストラテジストは、直近の2会合で利上げをしていないにも関わらず、インフレの見通しが下がり、来年の利下げ回数見通しが増えたとして「今までの利上げの累積的な効果が出てきた、今後も出てくるとの考え方に変わったことを示唆する」と話す。
きょうの東京市場でも米国市場の流れを引き継ぎ、FOMCは非常にハト派な内容との受け止めが先行。国債先物中心限月3月限は大幅続伸しており、新発10年国債利回り(長期金利)は一時0.625%と1週間ぶり水準に低下した。
米金利の急低下を受けて、ひと晩で142円前半まで4円近く下落したドル/円は、いったん143円目前まで買い戻されたものの、すぐに押し戻される上値の重い展開となった。「市場の早期利下げ観測が事実上黙認された。ドルは10月以降の下落基調が強まっており、しばらくこの流れが続くだろう」と、みずほ証券の⼭本雅⽂チーフ為替ストラテジストはみている。
日経平均は買いが先行した後、マイナスに転じている。急激な円高が重しとなったとみられ、セクター別の下落率トップはトヨタ自動車など自動車株を含む輸送用機器。日米金利が低下する中、銀行や保険も大幅安となっている。
一方、「日経平均は年内の3万4000円トライもあり得る」(野村AMの石黒氏)との見方が聞かれる。今後は、為替の円高が輸出株を中心に重しになる一方、多少の円高を跳ね除けられるようなセクターに物色が向かい、「物色の中身は変わるが、指数自体はじり高を想定する」と、石黒氏は話している。
FOMCを通過したことで、日銀の出方に市場の関心は向かっている。りそなの石田氏は、円金利が米金利低下に追随するのはせいぜい今週いっぱいで、週明け以降は日銀会合に対する警戒感から、円金利は反発地合いとなりやすいとの見方を示した。