[ワシントン 26日 ロイター] - 米国とその同盟国がウクライナ向けに、より高性能の武器を供与している中で、こうした武器による攻撃がロシア領深くに達した場合に戦争がエスカレートする危険について、米政府がウクライナ側と既に協議している。複数の米政府高官や外交筋がロイターに明かした。
関係者3人の話では、協議の狙いはエスカレーションに付随するリスクに関して共通の理解を得ることにある。米高官の1人は「われわれはエスカレーションを心配している。だがわれわれが提供している武器の使用で対象地域を限定したり、あまりに大きな制約を課したりするのも今のところ望んでいない」と語った。
ウクライナは侵攻してきたロシア軍に対して、米情報当局が当初想定した以上の反撃に成功している。西側諸国は「M777」155ミリりゅう弾砲など、より射程距離が長い火力兵器の供与に積極的な姿勢を強化。先週には米国防総省が、デンマークからウクライナに対艦ミサイル「ハープーン」が提供されると発表。ウクライナの保有する武器の射程はさらに長くなる。
また複数の米高官は、バイデン政権が弾薬次第で数百キロという射程を誇る自走多連装ロケットシステム「M142」の供与さえ検討していると話している。
一方で米情報当局からは、特にロシアのプーチン大統領が掲げているとみられる目標と現実にロシア軍が上げた戦果に大きな差がある以上、さまざまなリスクが高まってきたとの警告も聞かれる。ヘインズ国家情報長官は今月の上院証言で、今後数カ月で戦闘は「予測不能度が高まり、エスカレートする方向に進む可能性」があると述べた。
そうした中で2人目の米高官は、西側が供与した特定の武器システムの使用に際して米国とウクライナは「理解」を共有していると強調。「これまでのところ、(使用)限度の面で認識が一致している」と強調した。