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テクノスJPN Research Memo(5):2020年3月期は増収ながら一過性要因により大幅減益

発行済 2020-07-31 15:05
更新済 2020-07-31 15:21
© Reuters.  テクノスJPN Research Memo(5):2020年3月期は増収ながら一過性要因により大幅減益
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■決算動向1. 2020年3月期連結業績の概要テクノスジャパン (T:3666)の2020年3月期の連結業績は、売上高が前期比10.1%増の7,677百万円、営業利益が同63.9%減の282百万円、経常利益が同63.7%減の307百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同90.8%減の130百万円と増収ながら一過性の特殊要因により減益となった。

期初予想に対しては、売上高、利益ともに下回る着地となっている(修正予想は達成)。

売上高は、企業のERP・CRMへのシステム投資が堅調に推移したことや、2018年6月にグループ化したLirikの通年寄与(6ヶ月分の上乗せ)により2ケタの増収を確保し、2期連続で過去最高を更新した。

ただ、期初予想に対して下振れたのは、特定のプロジェクトにおいて、期間の延長や体制の増員が必要となったことから、その対応により機会損失が発生したことや、見込んでいた売上高の一部が不計上となったことが理由である※。

なお、2020年1月からグループ化したアックによる業績寄与(3ヶ月分の上乗せ)は軽微のようだ。

※主力のERP・CRMシステムではなく、その周辺のシステム領域によるものである。

すでにプロジェクトは終了しており、今後の業績に影響を及ぼすものではない。

同社では、周辺領域を絞り込むほか、再発防止策として、1)プロジェクト推進・管理体制の強化(増員及び業務フローの再整備など)、2)社員教育(プロジェクト管理方法の再点検など)に取り組んでいる。

利益面でも、前述した特定プロジェクトの損失額(584百万円)を原価に計上したことから、売上原価率は79.2%(前期は74.6%)と一時的に大きく悪化した。

また、販管費についても、プラットフォーム事業への先行費用により増加し、それらの結果、大幅な減益となった。

ただ、プラットフォーム事業への先行費用は想定内であり、期初予想を大きく下振れたのは、特定プロジェクトの損失発生によるものである。

また、最終損益の減益幅がさらに大きいのは、前期(2019年3月期)に計上された関係会社株式売却益(989百万円)※のはく落(反動減)が理由であり、こちらも一時的な要因である。

※2018年12月に、それまで持分法適用関連会社であったTDSEが東証マザーズに上場したことに伴い、保有株式の一部を売り出したものである。

財政状態については、総資産が「仕掛品」(流動資産)や「投資有価証券」(固定資産)の減少等により前期比18.9%減の5,990百万円に縮小した一方、自己資本も「剰余金の配当」や「有価証券評価差額金」のマイナス(評価損の計上)などにより同18.4%減の4,348百万円となったことから、自己資本比率は72.6%(前期末は72.2%)とほぼ横ばいで推移した。

一方、資本効率を示すROEは2.7%(前期は33.1%)と大きく低下したが、前期(2019年3月期)は関係会社株式売却益の計上により特別高かったことや、当期においては特定プロジェクトの損失発生により一時的に低下したことに注意する必要があり、実態としては10%を超える水準で推移しているとみることができる。

2020年3月期の特殊要因を除けば、売上高、利益ともに順調に増加傾向2. 過去の業績推移過去の連結業績を振り返ると、2014年3月期から2015年3月期にかけては、将来を見据えた体制整備を優先したことから、売上高の伸びが足踏みしたものの、2016年3月期以降は、ビッグデータ事業の立ち上がりや海外売上高の拡大により成長が加速してきた。

また、2018年3月期は、前述のとおり、TDSEの非連結化に伴って一旦減収となったが、2019年3月期以降は、ERP・CRMの拡大により増収に転じており、旺盛な投資意欲を背景として同社業績も順調に伸びていると評価できる。

また、利益面でも、2019年3月期までは5期連続で最高益(営業及び経常利益)を更新し、利益率は業界標準を大きく上回る水準を維持してきた(2020年3月期は、前述のとおり、一過性の特殊要因により利益水準は一旦落ち込んでいる)。

一方、財務面でも、財務基盤の安定性を示す自己資本比率は高い水準で推移する一方、資本効率を示すROEも10%を超える水準を確保しており、同社の財務内容は極めて優良と言える。

なお、2019年3月期から2020年3月期のROEが33.1%から2.7%へと大きく変動しているのは、前述のとおり、それぞれに一時的な特殊要因が影響しており、本質的な収益性(資本効率性)の変化を示すものではない(実態として10%を超える水準で推移しているものとみることができる)。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)

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