*16:07JST 城南進研 Research Memo(7):2024年3月期業績は収益構造改革の効果で黒字転換見通し(1)
■今後の見通し
1. 2024年3月期業績見通し
城南進学研究社 (TYO:4720)の2024年3月期の連結業績は、売上高で前期比5.0%増の6,245百万円、営業利益で169百万円(前期は32百万円の損失)、経常利益で174百万円(同40百万円の損失)、親会社株主に帰属する当期純利益で106百万円(同135百万円の損失)と期初計画を据え置いた。
営業利益、経常利益は2期ぶりの黒字転換、親会社株主に帰属する当期純利益は4期ぶりの黒字転換となる見通しだ。
第2四半期までの進捗率は売上高で49.2%、営業利益で46.7%となっているが、経済産業省主催の「未来の教室」実証事業に関連した売上(1億円強)が2024年3月期下期は無くなることや、第2四半期までの売上高が計画をやや下回っている状況を考慮すれば、売上高に関しては計画を下振れする可能性があると弊社では見ている。
一方、利益面では下期も収益構造改革によるコストの適正化に取り組む方針であり、その状況次第では計画達成も射程内にあると見られる。
(1) 個別指導部門
個別指導部門のうち、直営教室については新規開設の予定がなく、高校生が集まりにくい教室については近隣の教室と統合することを視野に検討を進めている。
また、FC教室についてはFCオーナーの後継者問題が顕在化していることから、オーナーチェンジがなければ教室数の減少が続く可能性がある。
全体的には不採算教室の整理統合を進めることで、収益力を強化する方針であることに変わりない。
第3四半期の状況については、塾検索サイトからの問い合わせ流入件数が減少傾向にあり、生徒の新規獲得に苦戦している状況に変わりないようだ。
このため、通期売上高も微減収が続く可能性がある。
同社では生徒獲得施策として、自社Webサイトからの問い合わせ件数を増やすため、コンテンツの拡充に取り組むほか、友達紹介などを継続する。
また、小学生については「りんご塾」を直営だけでなくFC教室にも導入していくことで低学年の生徒を囲い込み、「城南コベッツ」への入塾を図る。
2023年9月末時点でFC教室における「りんご塾」の導入は4教室にとどまっていたが、下期以降は導入を加速し、2024年春には「りんご塾」を150教室以上に拡大する予定だ。
このなかには提携先の明光ネットワークジャパンの教室で導入するものも含まれる。
「城南コベッツ」ではFC含めて190教室前後で未導入となっており、単純にすべての教室で導入したとすれば「りんご塾」で1,900人の新規生徒を獲得できる計算となる(1教室平均10人で換算)。
平均単価は年間で20万円台と「城南コベッツ」の半分以下の水準と見られるが、「りんご塾」をきっかけに「城南コベッツ」に通塾する生徒の比率も一定程度期待できることを考えれば、導入メリットは大きいと言えよう。
また、顧客満足度の向上(=学力向上、志望校合格)に取り組み、口コミ効果などで生徒数が増えていく状況となれば理想的であり、売上高も再び成長軌道に復帰するものと考えられる。
特に、コロナ禍以降増加している私立中学受験志望の生徒を取り込むことができるかが鍵を握ると見られ、受験対策用カリキュラムの充実を図る方針だ。
そのほか、差別化戦略としてはICTを活用した「学びの個別最適化」に取り組んでいる。
小中学生向けには「デキタス」、中高校生向けには「atama+」(AIを活用した学習教材)をデジタル教材として導入し、効率的に基礎学力の向上を図るほか、学習の進捗度合いを管理するアプリ「GoNAVI」を活用して計画的な学習を支援している。
また、中高生向けには子会社アイベックのオンライン英会話レッスンなどをオプションメニューとして用意しており、生徒当たりの単価アップにつなげていく考えだ。
(2) 映像授業部門
映像授業部門では「河合塾マナビス」のなかでも高い合格実績を挙げていることを今まで以上に強くアピールし、生徒獲得に注力する。
ただ、第3四半期も生徒獲得ペースに変化はないようで、通期売上高も前期比若干の減収となる可能性が高い。
なお、新校舎については2025年3月期に1校開設すべく準備を進めている。
(3) 幼少教育部門
幼少教育部門(単体)の売上高は、「りんご塾」や「ズー・フォニックス・アカデミー」で増収が見込まれる。
「ズー・フォニックス・アカデミー」についてはインターナショナル・スクールとアフタースクールの2本立てで展開しているが、インターナショナル・スクールが競争激化で低迷が続いている状況にあることから、今後サービス提供の在り方について見直す意向である。
また、「くぼたのうけん」についても新規顧客の獲得に苦戦している状況から、長所を上手く訴求できるようリブランディングして再出発する方針を決定した。
「城南ブレインパーク」については、2025年3月期から全国にFC展開する予定であり、リブランディングとアライアンス戦略を進めるべく、明光ネットワークジャパンやその他候補先企業と交渉を進めている段階にある。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
1. 2024年3月期業績見通し
城南進学研究社 (TYO:4720)の2024年3月期の連結業績は、売上高で前期比5.0%増の6,245百万円、営業利益で169百万円(前期は32百万円の損失)、経常利益で174百万円(同40百万円の損失)、親会社株主に帰属する当期純利益で106百万円(同135百万円の損失)と期初計画を据え置いた。
営業利益、経常利益は2期ぶりの黒字転換、親会社株主に帰属する当期純利益は4期ぶりの黒字転換となる見通しだ。
第2四半期までの進捗率は売上高で49.2%、営業利益で46.7%となっているが、経済産業省主催の「未来の教室」実証事業に関連した売上(1億円強)が2024年3月期下期は無くなることや、第2四半期までの売上高が計画をやや下回っている状況を考慮すれば、売上高に関しては計画を下振れする可能性があると弊社では見ている。
一方、利益面では下期も収益構造改革によるコストの適正化に取り組む方針であり、その状況次第では計画達成も射程内にあると見られる。
(1) 個別指導部門
個別指導部門のうち、直営教室については新規開設の予定がなく、高校生が集まりにくい教室については近隣の教室と統合することを視野に検討を進めている。
また、FC教室についてはFCオーナーの後継者問題が顕在化していることから、オーナーチェンジがなければ教室数の減少が続く可能性がある。
全体的には不採算教室の整理統合を進めることで、収益力を強化する方針であることに変わりない。
第3四半期の状況については、塾検索サイトからの問い合わせ流入件数が減少傾向にあり、生徒の新規獲得に苦戦している状況に変わりないようだ。
このため、通期売上高も微減収が続く可能性がある。
同社では生徒獲得施策として、自社Webサイトからの問い合わせ件数を増やすため、コンテンツの拡充に取り組むほか、友達紹介などを継続する。
また、小学生については「りんご塾」を直営だけでなくFC教室にも導入していくことで低学年の生徒を囲い込み、「城南コベッツ」への入塾を図る。
2023年9月末時点でFC教室における「りんご塾」の導入は4教室にとどまっていたが、下期以降は導入を加速し、2024年春には「りんご塾」を150教室以上に拡大する予定だ。
このなかには提携先の明光ネットワークジャパンの教室で導入するものも含まれる。
「城南コベッツ」ではFC含めて190教室前後で未導入となっており、単純にすべての教室で導入したとすれば「りんご塾」で1,900人の新規生徒を獲得できる計算となる(1教室平均10人で換算)。
平均単価は年間で20万円台と「城南コベッツ」の半分以下の水準と見られるが、「りんご塾」をきっかけに「城南コベッツ」に通塾する生徒の比率も一定程度期待できることを考えれば、導入メリットは大きいと言えよう。
また、顧客満足度の向上(=学力向上、志望校合格)に取り組み、口コミ効果などで生徒数が増えていく状況となれば理想的であり、売上高も再び成長軌道に復帰するものと考えられる。
特に、コロナ禍以降増加している私立中学受験志望の生徒を取り込むことができるかが鍵を握ると見られ、受験対策用カリキュラムの充実を図る方針だ。
そのほか、差別化戦略としてはICTを活用した「学びの個別最適化」に取り組んでいる。
小中学生向けには「デキタス」、中高校生向けには「atama+」(AIを活用した学習教材)をデジタル教材として導入し、効率的に基礎学力の向上を図るほか、学習の進捗度合いを管理するアプリ「GoNAVI」を活用して計画的な学習を支援している。
また、中高生向けには子会社アイベックのオンライン英会話レッスンなどをオプションメニューとして用意しており、生徒当たりの単価アップにつなげていく考えだ。
(2) 映像授業部門
映像授業部門では「河合塾マナビス」のなかでも高い合格実績を挙げていることを今まで以上に強くアピールし、生徒獲得に注力する。
ただ、第3四半期も生徒獲得ペースに変化はないようで、通期売上高も前期比若干の減収となる可能性が高い。
なお、新校舎については2025年3月期に1校開設すべく準備を進めている。
(3) 幼少教育部門
幼少教育部門(単体)の売上高は、「りんご塾」や「ズー・フォニックス・アカデミー」で増収が見込まれる。
「ズー・フォニックス・アカデミー」についてはインターナショナル・スクールとアフタースクールの2本立てで展開しているが、インターナショナル・スクールが競争激化で低迷が続いている状況にあることから、今後サービス提供の在り方について見直す意向である。
また、「くぼたのうけん」についても新規顧客の獲得に苦戦している状況から、長所を上手く訴求できるようリブランディングして再出発する方針を決定した。
「城南ブレインパーク」については、2025年3月期から全国にFC展開する予定であり、リブランディングとアライアンス戦略を進めるべく、明光ネットワークジャパンやその他候補先企業と交渉を進めている段階にある。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)