*15:21JST テノックス Research Memo(1):企業価値向上の実現に向け、ROE8%以上に再チャレンジ
■要約
1. 杭工事や地盤改良工事など基礎工事に特化、国内有数の技術力と信頼を誇る
テノックス (TYO:1905)は、杭工事や地盤改良工事など基礎工事に特化した建設事業を行っている。
基礎工事は、住宅やマンション、工場、道路・鉄道高架橋などの構造物を目に見えない地下で支えており、「品質が良くて当たり前」という施工への信頼が大きな前提となっている。
近年、大地震への備えや、頻発する大型台風・集中豪雨といった自然災害に対する防災意識の高まりなどから、一般の人にも注目される業界になってきた。
なかでも同社は、業界のパイオニアとして、中低層建築物向けに広く浸透しているテノコラム工法や、高速道路などの土木工事に用いられるガンテツパイル工法を開発するなど、国内有数の技術力と技術に基づく信頼を誇る。
同社の売上高の大半がこうした国内の基礎工事だが、子会社で土木建築コンサルティング全般等事業や海外事業も展開している。
2. 豊富なラインアップなどの強みを背景とした「折り込む力」はビジネスモデル上の特長
同社は、鋼管杭工事や深層地盤改良工事を得意としているだけでなく、コンクリート杭工事や浅層地盤改良工事、既存杭の引抜き工事などへと事業領域を拡大しており、豊富な工法のラインアップに強みがある。
また、施工状況をリアルタイムに確認できる施工管理装置や、子会社が擁する工事技能者集団・各種機材による安定した施工品質も強みである。
構造物で最重要とされる基礎工事大手として、設計業者や総合建設業者(ゼネコン)と直接的なつながりを持ち、自社で施工も行うという一貫体制にも強みがある。
こうした強みを背景に、同社の技術提案が設計に反映されるケースが多く、ゼネコンからの発注も増えているようだ。
これを同社は「折り込む力」と呼び、ビジネスモデル上の大きな特長となっている。
3. コロナ禍から回復するなか、2024年3月期も引き続き2ケタ増収増益を予想
2023年3月期の業績は、売上高18,317百万円(前期比23.6%増)、営業利益653百万円(同40.0%増)と大幅増収増益となり、期初の計画に対しても超過達成となった。
新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)から回復するなかで、インフラ関連の土木杭工事や民間設備投資に伴う地盤改良工事など大型工事が売上をけん引、資材価格の高騰を施工機械の高稼働や増収効果などで吸収したことが要因である。
2024年3月期の業績見通しについて同社は、売上高21,200百万円(前期比15.7%増)、営業利益810百万円(同24.0%増)と引き続き順調な業績改善を見込んでいる。
売上面ではインフラ関連や民間設備投資に伴う大型工事を予定しており、利益面では資材価格の高騰などを折り込んで保守的な前提となっているが、引き続き施工機械の高稼働や増収効果により営業利益率の改善を見込んでいる。
4. ステークホルダーの期待に応えるべく、次期中期経営計画でROE8%以上に再チャレンジへ
現中期経営計画は、開発戦略、営業・施工戦略、ESG戦略の3つの基本戦略を着実に遂行したことで定性目標は順調に進捗しているが、コロナ禍に加え、建設資材の高騰による影響が大きく、最終年度の2024年3月期の売上高220億円、経常利益15億円、ROE8%という定量目標が未達になる見込みとなった。
同社としては、ステークホルダーの期待に応える持続的な成長と中長期的な企業価値向上を実現しなければならないとの思いを強くしたようで、3つの基本戦略の着実な遂行やM&Aによる既存事業の拡大などによって、ROE8%以上への再チャレンジを主眼に、2025年3月期にスタートする予定の次期中期経営計画で売上高240億円以上、経常利益15億円以上を目指す考えである。
詳細は2024年3月期本決算発表時に開示する予定となっている。
■Key Points
・国内有数の技術力と信頼を誇る基礎工事のパイオニア。
「折り込む力」に特長
・コロナ禍からの回復のなか大型工事がけん引、2024年3月期も連続2ケタ増収増益へ
・足もと好調も現中期経営計画は未達へ。
次期中期経営計画でROE8%以上に再チャレンジ
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
1. 杭工事や地盤改良工事など基礎工事に特化、国内有数の技術力と信頼を誇る
テノックス (TYO:1905)は、杭工事や地盤改良工事など基礎工事に特化した建設事業を行っている。
基礎工事は、住宅やマンション、工場、道路・鉄道高架橋などの構造物を目に見えない地下で支えており、「品質が良くて当たり前」という施工への信頼が大きな前提となっている。
近年、大地震への備えや、頻発する大型台風・集中豪雨といった自然災害に対する防災意識の高まりなどから、一般の人にも注目される業界になってきた。
なかでも同社は、業界のパイオニアとして、中低層建築物向けに広く浸透しているテノコラム工法や、高速道路などの土木工事に用いられるガンテツパイル工法を開発するなど、国内有数の技術力と技術に基づく信頼を誇る。
同社の売上高の大半がこうした国内の基礎工事だが、子会社で土木建築コンサルティング全般等事業や海外事業も展開している。
2. 豊富なラインアップなどの強みを背景とした「折り込む力」はビジネスモデル上の特長
同社は、鋼管杭工事や深層地盤改良工事を得意としているだけでなく、コンクリート杭工事や浅層地盤改良工事、既存杭の引抜き工事などへと事業領域を拡大しており、豊富な工法のラインアップに強みがある。
また、施工状況をリアルタイムに確認できる施工管理装置や、子会社が擁する工事技能者集団・各種機材による安定した施工品質も強みである。
構造物で最重要とされる基礎工事大手として、設計業者や総合建設業者(ゼネコン)と直接的なつながりを持ち、自社で施工も行うという一貫体制にも強みがある。
こうした強みを背景に、同社の技術提案が設計に反映されるケースが多く、ゼネコンからの発注も増えているようだ。
これを同社は「折り込む力」と呼び、ビジネスモデル上の大きな特長となっている。
3. コロナ禍から回復するなか、2024年3月期も引き続き2ケタ増収増益を予想
2023年3月期の業績は、売上高18,317百万円(前期比23.6%増)、営業利益653百万円(同40.0%増)と大幅増収増益となり、期初の計画に対しても超過達成となった。
新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)から回復するなかで、インフラ関連の土木杭工事や民間設備投資に伴う地盤改良工事など大型工事が売上をけん引、資材価格の高騰を施工機械の高稼働や増収効果などで吸収したことが要因である。
2024年3月期の業績見通しについて同社は、売上高21,200百万円(前期比15.7%増)、営業利益810百万円(同24.0%増)と引き続き順調な業績改善を見込んでいる。
売上面ではインフラ関連や民間設備投資に伴う大型工事を予定しており、利益面では資材価格の高騰などを折り込んで保守的な前提となっているが、引き続き施工機械の高稼働や増収効果により営業利益率の改善を見込んでいる。
4. ステークホルダーの期待に応えるべく、次期中期経営計画でROE8%以上に再チャレンジへ
現中期経営計画は、開発戦略、営業・施工戦略、ESG戦略の3つの基本戦略を着実に遂行したことで定性目標は順調に進捗しているが、コロナ禍に加え、建設資材の高騰による影響が大きく、最終年度の2024年3月期の売上高220億円、経常利益15億円、ROE8%という定量目標が未達になる見込みとなった。
同社としては、ステークホルダーの期待に応える持続的な成長と中長期的な企業価値向上を実現しなければならないとの思いを強くしたようで、3つの基本戦略の着実な遂行やM&Aによる既存事業の拡大などによって、ROE8%以上への再チャレンジを主眼に、2025年3月期にスタートする予定の次期中期経営計画で売上高240億円以上、経常利益15億円以上を目指す考えである。
詳細は2024年3月期本決算発表時に開示する予定となっている。
■Key Points
・国内有数の技術力と信頼を誇る基礎工事のパイオニア。
「折り込む力」に特長
・コロナ禍からの回復のなか大型工事がけん引、2024年3月期も連続2ケタ増収増益へ
・足もと好調も現中期経営計画は未達へ。
次期中期経営計画でROE8%以上に再チャレンジ
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)